東京の新橋芸者による『東をどり』をご存知でしょうか。『東をどり』は、晩春の季語にもなっている舞踊の会で、今年で94回目を迎えます。戯曲の作者には、川端康成、谷崎潤一郎、井上靖などの文豪が名を連ねる、日本文化の粋を集めた催しです。
新橋の料亭が同じメニューで松花堂弁当をつくって競ったり、幕間に芸者衆がお客様をおもてなししたりと、一見さんお断りの花柳界の門が、この期間中だけは開くのです。他にも、芸者衆による江戸千家の点茶席、艸心流(そうしんりゅう)家元の活花とお楽しみは尽きません。しかし、東をどりをご覧いただきたい一番の理由は、「女性がきれいでいる期間が延びるから!」。
陸上で「100m9秒台」の記録が出た途端、長らく越えられなかった10秒の壁を超える人が続出しました。「可能だ」ということが明らかになれば、人間の「できるスイッチ」が入るのです。東をどりを見ることはまさに、「ずっときれいな女でいるスイッチ」を入れること。
「80歳を過ぎてるのにきれいすぎ!」とか、「歳をとっても男性から大切にされるんだ!」と、私が芸者になって驚いたのと同じ体験を、多くの女性にしていただける絶好の機会なのです。
フィナーレは特に圧巻で、真っ暗な舞台に拍子木の音が響くと、眩いライトに黒の出(紋付で裾を引いた着物)の芸者がずらりと浮かび上がります。センターは、実力のある大きな(たいていは70代以上の)お姉さんの場所。♪東をどりは世界のをどり~という歌にのって、芸者衆が手ぬぐいを撒くと、ひときわ会場が沸き立ちます。
10代から80代までの芸者衆が芸を披露する会場には、俳優やモデルのお客様もちらほら。きれいな女性が集まる空間にいると、きれいは伝染します。『東をどり』が開催される5月24日からの4日間は、ぜひ新橋演舞場へ。