お友達が家に遊びに来て、「あ、パンストに穴が開いてる。替えを貸してくれる?」と言ったら、あなたはどうしますか? 当時大学生だった私は、「はい、これ」と、部屋に干してあったパンストを洗濯バサミからはずしてそのまま渡したとか…(いまはもちろんしません!笑)。そして、それを渡された友人は、「失礼ね」と怒るどころか、「この子となら気楽にやっていける」と思ってくれたそう。大学時代からの大切な友人と私をつないでくれたのが、じつはその一件だったと最近聞いて、等身大の自分を見せるのを怖がることのバカバカしさをあらためて感じました。
私は、「着物姿の元芸者」から連想される女性像と現実の自分との差に落ち込み、「素の自分を見せたら、さぞがっかりされるだろう」と、ときどき不安になります。また、自分のなかに、「女性は、人は、母は、社会人は、こうあるべき」というしばりをたくさんつくって、そこから外れたら非難されるんじゃないかという恐れも持っています。ところが、そんな恐れを抱いている私も昔は、干してあるパンストをそのまま渡す大学生だったのです(笑)。そしてそういう自分をいいと思ってくれた友人は、のちのちかけがえのない人になったのです。
大人になると、「こうしないと嫌われる、バカにされる、見限られる」などと不安に思って自分を飾ろうとしますよね。でも、自分を偽ると、偽った自分に見合った人と縁ができるし、本音で人と付き合えば、心の底から共鳴してくれる人との出会いが訪れるなぁとつくづく思います。恋人でも友達でも、最初はいいかっこをしたくなりますが、「よく思われるために」ではなく、「素の自分、心から感じていること」を、勇気を出して見せていく。そして、そんな自分を「いいな」と思ってくれる人と生きることが幸せだなとしみじみ思うこの頃です。その②へ続く。