妄想企画を通して再確認した、自分の個性・創作の面白さ
俳優が休日にこんな1日を送っていたら?というWOWOWの人気シリーズ『撮休』に、杉咲花が抜てきされた。出先で小銭がなくて困ったり、忘れられない過去を思い出したり…。今泉力哉、松居大悟、三宅唱ら監督陣×燃え殻、向井康介、和田清人といった小説家&脚本家たちが各々のカラーを持ち寄り、杉咲とコラボレーションした6色の物語が収められている。
複数の自分を演じる本作ならではの挑戦に、杉咲はどう取り組んだのだろう?
「自分と照らし合わせながら演じた場合、気づかぬ間に『自分はこうありたい』という理想像を求めてしまう可能性を感じたので、そことは切り離し他者として演じるということを心がけていました。主人公がそれぞれの回で違った輝きを放っていたので、意識的に演じ分けるというよりは、脚本から抱いたイメージと現場でのやりとりを大切に、たまたま同じ役名であるそれぞれの人物を1話ごとに演じるといった感覚でした」
杉咲は続けて、本作を経て得た“発見”を教えてくれた。
「なんだか矛盾しているのですが、演じていると、どの主人公も自分のような気がしてくるし、自分ではないような気持ちにもなったりして。人って、普段生活していてその相手にしか見せない一面や温度感があると思うんです。それはもしかしたら、無意識のうちに演技をしているからなのではないかなと思ったりして。この作品はそういった日常に潜んでいる人の曖昧な部分を切り取っているようにも思えてきて、とても面白いなと感じました」
対する監督陣の挑み方は?『撮休』経験者の今泉監督、初挑戦の松居監督に聞いた。
「撮休シリーズに参加する際は、ほかの人がどういう物語を書くかは意識しますね。てんでバラバラだったり、ちょっと重なる部分もあったり。それはつくり手としても視聴者としても楽しんでいます。今回、杉咲さんと初めてご一緒しましたが、僕自身や視聴者の中にあるパブリックなイメージをどう利用するのかは考えて脚本を書きました。ズラすのか、寄せるのか。各々のアプローチが面白かったです」
そう語る今泉監督が書き下ろしたのは、交際前の両想いのふたりを描いた物語。「芸能人の恋愛」が、今泉監督らしい微笑ましい対話劇で展開していく。
「好かれているよりは本人が好いているほうがかわいらしかったり、魅力的に描けると思うんです。両想いなのになぜか簡単にことは進まなくて。ちょっとした嫉妬も入れたいなと思って書きました」
小説家・燃え殻が脚本に挑戦したエピソードでは「なにも起こらないドラマをつくれるか?」という意図があったという。
「実際の休日って、一日中、家から出ないで過ごすこともあれば、映画館に行くだけみたいな日もある。このエピソードの主人公も『平凡で凡庸な1日を過ごす』ことを目的にしています。でも思い通りには行かず、行く先々で特別なことが起きてしまう。『気まずさ』と『困らせること』を大切にしながらつくっていきました」
「これまでの『撮休』シリーズを羨ましく見ていた」という松居監督は、コインランドリーを舞台に、小銭と音楽に振り回される作家性満載の物語を創作。
「杉咲さんとは7年前のTAMA映画賞の授賞式で初めてお話ししました。今回、向井康介さんに書いていただいたエピソードが中国人の女の子との関わり合うハートフルな話だったので、自分の話は些細でシニカルなものにしようと思い、小銭をめぐるものにしたんです。そのうえで『素朴』『音楽がある状況で振り回される』『コインランドリーにいてほしい』といった妄想を膨らませて形にしていきました。『撮休』シリーズは監督によって役も色もまったく違っていて、俳優の休日を描く・1日の出来事である・尺は30分弱といったルールによって個性が出てくるのが面白い。参加できてすごく光栄でした」
松居監督の現場のとあるシーンでは、杉咲がその場で見せる即興性を柔軟に採り入れていく瞬間もあったという。出演者と監督が相互に刺激し合った“結果”がここにある――。『杉咲花の撮休』はまさに、杉咲と監督陣の感性が混ざり合った「彼らでないと生まれなかった」作品といえるだろう。
すぎさき はな
1997年、東京都生まれ。多数の映画・ドラマに出演し、2016年に『湯を沸かすほどの熱い愛』で多数の映画賞に輝く。2020年にはNHK連続テレビ小説『おちょやん』のヒロインを務めた。公開待機作に映画『大名倒産』がある(6月23日公開)。
いまいずみ りきや
1981年、福島県生まれ。2010年『たまの映画』で商業監督デビュー。2019年の『愛がなんだ』がヒット。以降、『あの頃。』『街の上で』『窓辺にて』ほか多数の監督作を送り出す。有村架純主演映画『ちひろさん』が2月23日よりNetflix配信&劇場公開。
まつい だいご
1985年、福岡県生まれ。2008年に劇団ゴジゲンを結成し、劇作家・演出家として活躍。2012年に『アフロ田中』で商業監督デビューを果たし、現在までに『私たちのハァハァ』『くれなずめ』『バイプレイヤーズ』『ちょっと思い出しただけ』等を手がける。
PRESENT
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https://metropolitana.tokyo/ja/archive/present_2023_01
INFORMATION
連続ドラマW-30『杉咲花の撮休』
有村架純、竹内涼真、神木隆之介らが主演を務めた『撮休』シリーズ最新作。今泉力哉、松居大悟、三宅唱が、自身の書き下ろし脚本・脚本家たちとのコラボ作1本ずつを担当。杉咲花は撮休=オフ日にどう過ごしているのか? 独創性あふれる計6話の物語が展開する。
2023年2月10日(金)
放送・配信スタート[全6話]
毎週金曜午後11時30分放送・配信
(第1話無料放送、無料トライアル実施中)
出演:杉咲花 ほか
監督:松居大悟、今泉力哉、三宅唱
脚本:松居大悟、燃え殻、今泉力哉、向井康介、和田清人、三宅唱
音楽:安達練
主題歌:Chilli Beans.「border line」(A.S.A.B)
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