有村架純さん

プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」 有村架純


 近年稀(まれ)に見る大迫力の合戦シーンと、人気実力派俳優たちの豪華な共演が話題の大作時代劇『関ヶ原』。現在、連続テレビ小説『ひよっこ』にも主演し、次々に出演映画の公開が続く有村架純は、本作で伊賀の忍び・初芽役を熱演。アクションシーンもふんだんに披露するその姿は、これまでの彼女の印象を大きく変え、私たちを驚かせてくれる。膨大な数の出演者やスタッフが揃い、時に怒号が飛び交うほど緊迫していたという現場で、本作が時代劇初挑戦となる彼女はどのように撮影に取り組んだのか。

 「お話をいただいた時は、うれしい半面、焦りや不安も大きかったですね。最初は台本を読むのすら苦労しました。歴史の解釈はもちろん、言葉を理解することから始めないといけなくて。所作や立ち回りを覚えるのも大変で、撮影期間中はいつもより顔が鋭くなっていた気がします」

 有村が演じた初芽は、忍びの者として石田三成に仕えながら、女としても惹(ひ)かれていくという複雑な役どころ。原田眞人監督の映画にはこれが初出演。現場では、言葉の発し方や表情のつけ方まで、初芽の人物像を一から一緒につくりあげたという。

 「初芽は、人への情や生への執着を持たずに生きてきた人。それが石田三成と出会い、初めて愛情を感じ、『死にたくない』と思うようになる。伊賀者としての誇りと三成への愛情との間で揺れ動く、その繊細な気持ちをどう表現したらいいのか、ずいぶん悩みました」

 その葛藤は、彼女の最後の登場シーンまで続いた。彼を愛するひとりの女であるべきか、強い覚悟を持った伊賀者としてあるべきか。迷いながらも「初芽ならきっとこうするはず」と信じて演じたラストシーン。この印象的な場面の後、初芽はどんな人生を歩んだと思うかを尋ねてみた。

 「何も変わらないでしょうね。三成の遺志を心に秘めて、その後も強く生きていくと思います」

 きっぱりと答えた彼女の笑顔には、劇中で見せた表情と同じく凜とした美しさが感じられた。


ありむら かすみ

1993年、兵庫県生まれ。『映画ビリギャル』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞と新人俳優賞を受賞し、現在、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』に主演中。出演した映画は『アイアムアヒーロー』『3月のライオン』『ナラタージュ』(今秋公開)など多数



関ヶ原

8月26日(土)より全国順次公開。監督・脚本:原田眞人 

原作:司馬遼太郎 

出演:岡田准一、有村架純、平岳大、東出昌大/役所広司

©2017「関ヶ原」製作委員会







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