冬は、風邪やインフルエンザなどの感染症とともに、急性気管支炎を発症しやすい季節です。
つらい咳の症状を伴う急性気管支炎。その対処方法とは?
Q1.急性気管支炎とは、どんな病気?
急性気管支炎は、気管と、気管から分岐する気管支に炎症が起き、咳や発熱などの症状を引き起こす病気です。痰がからみ、咳をすると胸が痛くなることも。主な原因は感染症で、冬に多く見られます。おおむね、感染症が治るのと同時に、2週間ほどで自然治癒します。感染症が治っても、気管や気管支に残った炎症がタバコの煙などで刺激されると、咳が数週間続く場合も。女性は男性よりも気道過敏性が高く、刺激物に弱いため、咳が長引きやすくなります。
Q2.病院での診断方法は?
まず胸部のレントゲン検査で、肺炎や肺がんなど、ほかの病気がないかチェックします。続いて、病原菌の種類を調べるために、血液による抗体検査、または鼻咽頭をぬぐってウイルスを採取し、遺伝子配列を調べるPCR検査を行います。急性気管支炎は、病原菌の種類によって症状が異なります。百日咳やマイコプラズマ感染症なら咳が何週間も続きますし、COVID-19のように短期間で肺炎を起こすものもあるので、原因を特定することが必要です。
Q3.病院で行う治療方法は?
基本的に、感染症の治癒とともに自然治癒しますが、症状がつらければ、対症療法を行います。高齢者や重度の基礎疾患がある方は重症化しやすいため、早めの治療が必要です。ウイルス性の気管支炎なら、解熱剤や鎮咳剤で症状を緩和します。ウイルス性の気管支炎は肺炎に移行する確率は低いものの、高齢者や基礎疾患がある場合は免疫力が低下しやすく、細菌性の肺炎(身近にある細菌によって起こる)を誘発する危険性も。その場合は、抗生剤を使うこともあります。
Q4.解熱剤、鎮咳剤には、どんな種類があるの?
解熱剤は、頭痛やからだの痛みを緩和するために用います。インフルエンザなど、ウイルス性の気管支炎の場合は、カロナール錠など、アセトアミノフェン製剤を処方します。高熱を伴う感染症の場合、ロキソニン錠などの非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)は、脳症を起こす可能性があるため処方しません。鎮咳剤には、便秘と眠気の副作用があるので、便秘の症状や車の運転の有無など、患者と相談しながら飲む薬の度合いを決めます。
Q5.急性気管支炎の予防方法は?
現在は、COVID-19の予防策が徹底されています。急性気管支炎の予防法も、そうした感染症と同じように、こまめな手洗い・うがい、マスクの着用、換気、保温・保湿などに気をつけ、生活習慣を改善して免疫力を保つことが大切です。かかってしまった場合は、会社への出勤や外出を控え、ほかの人にうつさないようにしましょう。百日咳やマイコプラズマ感染症は、お子さんからうつることが多いものです。お子さんと接する機会が多い親御さんや保育士の方は、とくに注意しましょう。
監修:日野 光紀 先生
日本医科大学 呼吸ケアクリニック
呼吸器内科 所長