気候が穏やかになり、防寒具を着る機会も減るこの季節。忘れた頃にあらわれるのが、手のかゆみとカサつき!「気候のせい」と油断は禁物。手湿疹の症状かもしれません。
Q1.手湿疹ってなんですか?
第一に「かゆみがあるかどうか」が判断基準になります。人によっては、かゆみにくわえ、痛みが伴う赤み、ブツブツや水ぶくれなどの症状が混在することも。もう一つの特徴は、これらの症状が利き手からあらわれるということ。親指や人さし指といった頻繁に使う部分から出始めることが多く、次第に範囲が広がっていきます。また、手にかゆみやカサつきを感じ、皮膚に亀裂が入ると、「あかぎれ」や「ひび割れ」と判断して、重要視しないケースも少なくありません。手湿疹の症状である可能性があるので、皮膚科で早めの診断を。
Q2.手湿疹の原因が知りたい!
手湿疹は水に触れる機会が多い職業、例えば美容師や調理師などがなりやすいとされ、専業主婦の方にも多いことから、別名「主婦湿疹」とも呼ばれています。とくに冬場は寒さからお湯を使いがちですが、これに洗剤(界面活性剤)が組み合わさることにより、手の皮脂を過剰に奪ってしまいます。手には皮脂腺がなく、皮脂膜が流れてしまうと皮膚のバリア機能が一時的に失われ、手湿疹の原因に。また、敏感肌やアトピーなどの体質、ストレス、睡眠不足などが、手湿疹を引きおこすきっかけになる場合もあります。
Q3.どんなことに気をつければいいの?
原因となるものがわかっていれば、極力避けましょう。職業や生活上避けるのが難しい方もいるかと思いますが、対策できることはたくさんあります。まず、水や濡れているものに触れる際には必ずゴム手袋の着用を。手を洗うときは界面活性剤が多く含まれる液状のソープではなく、固形石鹸の使用がおすすめです。手洗い後はすぐに手を拭いてハンドクリームをつけることで、水濡れによる手荒れを防げます。すでに手湿疹ができている場合は、血行をよくして、かゆみを引きおこすアルコールや激しい運動などを控えるのも効果的です。
Q4.手湿疹を放っておくとどうなる?
ひどくなると、皮膚のバリア機能が正常に働かず、再生しないため、わずかな刺激も悪化の要因になります。たとえば、紙を触っただけ、洗濯物を畳んだだけ、水で手を洗っただけなど…。さらに、かゆいからといってかきむしることで炎症が爪にまで広がり、表面に溝ができるといった変形がおきることも。炎症が続くほど治りにくく、治療に要する期間も長くなります。湿疹の痕が将来的には色素沈着やシミの原因につながり、手元の印象が老けて見えてしまうという、あまりうれしくない面も。
Q5.どんな治療をするの?
症状によりますが、手の乾燥が目立つ場合はハンドクリーム代わりに使用する保湿剤を処方します。かゆみが強ければ、かゆみを抑える塗り薬や抗アレルギーの内服薬を。そして、炎症が強い場合はステロイドの塗り薬を使って症状を抑えていきます。治療期間は発症初期であれば2週間ほど、長く続いているものであれば3カ月程度が目安です。ただし、薬の治療だけでは完治しません。生活の中にある原因を根気よく取り除き、手のバリア機能を健やかに保つ努力が大切なのです。
監修:梅田 さやか先生
肌クリニック 表参道皮膚科 院長