2組のアーティスト、「菅野創+やんツー」と「サイン・ウェーブ・オーケストラ」による新作インスタレーション展「Vanishing Mesh(バニシング・メッシュ)」が、山口県山口市の山口情報芸術センター[YCAM]で開催されています。
バニシング・メッシュとは、技術革新によって見えなくなっていくさまざまな境界線や囲いを暗示。どこにいてもネットワークに接続できるユビキタス社会は、スマートフォンの普及によって加速し、時間や場所を問わず、多種多様な情報にアクセスできる環境を私たちにもたらしました。
この展覧会は、進化するI to T(あらゆるモノがネットにつながること)などに即座に適応していくポストユキビタス社会において、テクノロジーを導入した芸術表現の刷新によって、現代の情報環境を批評していく試みです。
2011年から活動している「菅野創+やんツー」の〈Avatars〉は、電話やカラーコーン、石膏(せっこう)像、自動車、植物など大小さまざまなオブジェクトで構成されるインスタレーション作品。配置されている日常的なモノには、カメラやマイク、モーター、小型コンピューターなどが組み込まれ、インターネットに接続されており、鑑賞者はウェブブラウザから各オブジェクトにログイン(憑依)して、作品を体験することができます。
あらゆるモノがネットワーク化され、人工知能が成熟しようとしている現在、無機物であるモノたちが、意思を持った者となり世界を知覚し動き出したとき、そこに立ち上がってくる新たな関係性を観察する作品となっています。
02年にコアメンバー、古舘 健、城 一裕、石田大祐、野口瑞希の4氏によって始められたプロジェクト「サイン・ウェーブ・オーケストラ」は3作品を発表。〈A Wave〉は、これまで彼らの作品の根幹であった観客の直接的な参加の意味を、「参加型アート」が一般的になった現在、改めて問い直す作品です。
ネットにアップされた映像を素材とし、明暗ごとに並べ替え、視覚・聴覚的に、一つのサイン波(単一の周波数成分のみを持つ波動)に還元された集合映像を、全身で体感し、各シグナルの読解に挑戦してください。
このほか、同様にサイン波を使った「The SINE WAVE ORCHESTRA stay」と「The SINE WAVE ORCHESTRA in the depths」が展示されています。
言葉で表現することが難しい展覧会ですが、メディア・アートの最先端ですので、機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。
バニシング・メッシュ
開催場所:山口情報芸術センター[YCAM](山口県山口市中園町7-7) スタジオA、スタジオB、ホワイエ、地下スペース
開催期間:5月14日(日)まで
開館時間:10:00~19:00
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)
入場無料
※〈The SINE WAVE ORCHESTRA in the depths〉は土日祝日のみの公開となります
※〈A Wave〉はメインテナンスのため、3月23日(木)~30日(木)は観ることができません