「自立とは、依存先を増やすこと」という小児科医・熊谷晋一郎さんの名言を最近知った。依存先とは、困ったときに頼ることができる存在のことだ。友人や家族といった近しい間柄の人でなくても構わない。推しだっていいし、動物や植物、あるいはモノ、思い出だって哲学だっていいという。たしかに「自立してる人」と言われると、誰にも頼らずひとりで立てる人をイメージしがちだけれども、私たちは他者と一切関与せずに生きることが意外と難しい。依存先を多く持っておけば、一つひとつの依存の比重は軽くなる。特定のものに寄りかかりすぎず、かつ孤立や孤独から距離を置くこともできる。
依存する角度にも着目してみたい。たとえばイライラ、モヤモヤ、シクシクしているときに、その問題に真っ向から向き合い解決しようと意気込むのもいいけれど、まず自分の心身の状態から見直すアプローチもある。睡眠や栄養は取れているか。体はこわばっていないか。器が変容すれば、案外そこに盛られている悩みも様相が違って見える。スルッと別の解決策や救いが見つかるなんてこともあるかもしれない。
マインドからクイックに整えるひとつの依存先として、個人的に強くおすすめしたいのがアロマの力だ。とくに女性の毎日に寄り添うさまざまな精油(エッセンシャルオイル)は、非常に頼れる存在であると思う。精油は植物から抽出した揮発性の液状芳香物質で、その中に何百という香気成分が含まれることもある。吸い込むことで、そのとき抱えている困りごとに、きっとどれかがコミットしてくれるだろう。ティッシュに垂らして香りを嗅ぐだけでもリフレッシュするし、持ち運んで手首やこめかみに塗布できるロールオンアロマも使いやすい。
香水やフレグランスキャンドル、ルームスプレーなどもいい。自分が好きな香りや懐かしい香りは、心の拠り所のように安心感をもたらすからだ。最近は入眠前に香りを楽しむ「寝香水」が流行っているけれど、ベッドサイドに落ち着く香りを置いておくのもいいと思う。
香りの何よりもいいところは、呼吸が深まることだ。いい香りを吸い込もうと、無意識に多く息を吸う。吸うからしっかり吐ける。吐き切るからまた吸える。長時間のデスクワークやスマホへの過集中状態は、呼吸を浅くし、体も頭もカチカチにしてしまう。呼吸が深くなるだけで、自分の中の気が巡り、風通しが良くなっていく。
バイオリズムによって、香りの感じ方は変わるもの。好みの香りを見つけておくと、ここぞというときに器としての自分を整える一助となる。ひとつと言わず、たくさん探そう。依存先は多いほうがいいのだから。
アヤナ
ビューティライター。化粧品メーカーの企画開発職を経て、35歳でライターとして独立する。培った専門知識にファッションやアート、ウェルネス視点を加えた独自の美容観でビューティを分析し、さまざまなメディアで執筆。近著に『仕事美辞』(2024年双葉社)。「エモ文」文章講座も開講中。最近、草野庸子さんの写真を購入。
30年以上前から女性の健康とともに歩み、研究開発をつづけてきたロート製薬は、女性ならではのからだの変化・不調に向きあう商品や、正しい知識を発信中。「女性ホルモン」と生きるあなたの、からだだけでなくこころにまで、そして、目に見えるものだけでなくカタチのないものにまで寄り添う存在として、“モンモン”を、“ルンルン”にしていくパートナーを目指しています。
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