「ストリートダンスでアジアと繋がろう」を合言葉に、アジア地域での国際交流を推進する「国際交流基金アジアセンター」と「パルコ」が進めるプロジェクト「DANCE DANCE ASIA(ダンス・ダンス・アジア)東京公演」(DDA)が始まりました。9日夜の初演に先がけてゲネプロ(本番直前のリハーサル)が行われたので、その様子を写真を中心にお伝えします。
「BLACK LIP BOYZ」のステージ (写真・田中幸美)
公演は、アジアを代表する新進気鋭の3人の演出家の約30分の中編作品を次々に上演する「オムニバス」形式で行われました。
奇天烈な世界観を独特のダンスで表現する「東京ゲゲゲイ」リーダー、MIKEYこと牧宗孝さん、フィリピンを代表するダンスグループ「Philippine Allstars」の振付家のVince Mendozaさん、そしてベトナムのダンサーで振付家のLION Tさんの3人です。
(左から)フィリピンのVince Mendozaさん、日本の牧宗孝さん、そしてベトナムのLION Tさんのアジアを代表する3人の演出家もフィナーレでステージに上がりました (写真・田中幸美)
中でも独特の世界観から異彩を放っていたのが牧さんの作品です。最年少15歳の日本人ダンサー「kEnkEn」をはじめ計4カ国5人の20代の若いダンサーが織りなす美とファッションの競演でした。「BLACK LIP BOYZ」という演目名さながらに、黒いリップを塗った妖艶な5人が次々とステージに登場するオープニングシーンは、まるでファッションショーを見ているよう。しかも腕を中心に指先まで使った早い動きやポージングで色っぽく見せるダンス「ヴォーギング」を繰り出すと、否が応でも「BLACK LIP BOYZ」の世界に引きずり込まれます。
ファッションショーを見ているかのような「BLACK LIP BOYZ」のステージ (写真・田中幸美)
5人の個性がぶつかり合う「BLACK LIP BOYZ」のステージは見る者をとらえてはなしません (写真・田中幸美)
牧さんによると、今回の作品はストーリーもメッセージ性も特になく、「ただファッションやメークなどの〝美〟がテーマになっている」そうです。「全員男子でやりたいというのがまずありまして」と話すように、東京ゲゲゲイとはまた違った世界観を醸し出します。それぞれ細かいダンスのスタイルは違いますが、踊るときの美意識やパッションのベクトルは同方向。しかもそれぞれが「私を見て」という自己顕示欲のような情念のぶつかり合いのダンスは見る者をとらえます。
フィナーレで出演したダンサーとともに踊るMIKEYこと牧さん(中央) (写真・田中幸美)
また、ほとんどの楽曲も、背景に映し出された映像も牧さんが自ら制作したそうです。ダンス界だけでなく演劇界や映像クリエイターなどからも注目を集める牧さんならではの演出が光る作品で、ステージにくぎ付けになった30分でした。
背景の映像も牧さんが手がけました (写真・田中幸美)
ストリートとコンテンポラリーを融合し、フィリピンの伝統芸能「バンブーダンス」の要素も取り入れた演出が印象に残ったVinceさんの作品も、ビートボックスとストリートダンスを融合させるという新しい手法を取り入れたLION Tさんの作品もそれぞれユニークなものでした。
ストリートとコンテンポラリーを融合させた独特のダンスを披露したVinceさんのチーム (写真・田中幸美)
ストリートとコンテンポラリーを融合させた独特のダンスを披露したVinceさんのチーム (写真・田中幸美)
ビートボックスとストリートダンスを融合させるという新しい手法を取り入れたLION Tさんの作品 (写真・田中幸美)
ビートボックスとストリートダンスを融合させるという新しい手法を取り入れたLION Tさんの作品
公演は、11日まで行われます。また、2017年にはフィリピン・マニラ、ベトナム・ハノイでの上演も予定しているそうです。
◆DDA東京公演は11日まで東京・池袋の東京芸術劇場シアターイーストで。☎03・3477・5858パルコ・ステージ・インフォメーションまで。当日券は、上演の1時間前から発売するそうです。
DDA公式ホームページは、http://dancedanceasia.com/