NHK大河ドラマ「真田丸」効果で、今年はゆかりの上田市だけでなく長野市などにも観光客が大挙して押し寄せて空前の観光ブームとなった長野県。「真田丸」なき後は、〝山の信州〟を売り出すことで「海の沖縄」や「大地の北海道」に対抗する観光県を目指す構えです。そこで、打ち出したのが▶アウトドア▶自然と健康▶文化・歴史―の3つのテーマ別ツーリズム。
今回モニターツアーに参加して、「文化・歴史」テーマの中山道の宿場町「妻籠宿」(つまごじゅく・長野県南木曽町)を散策しました。
中山道の宿場町「妻籠宿」は歴史や文化をテーマにした旅にピッタリです
江戸と京を結ぶ中山道のうち、急峻な木曽谷を通る街道部分(木曽路)にある11の宿場町を「木曽路街道」と呼んでいました。中山道六十九次のうちで江戸から42番目となる「妻籠宿」は、中山道と伊那街道が交差する交通の要所として、43番目の馬籠宿とともに古くからにぎわいを見せていました。江戸時代中期には、南北約250メートルほどと木曽路街道11宿のなかで最小でしたが、人口は400人を超えていたそうです。
1968(昭和43)年には町並みの保存が始められ、1976(昭和51)年に全国初の「国の重要伝統的建造物保存地区」に指定されました。全長約500mの町並みは、江戸時代にタイムスリップしたようで、どれも当時の面影を残し、懐かしさと郷愁が感じられる情緒あふれた宿場町です。
妻籠宿は風情ある街並みが特徴です
宿場は、おおまかに上町、中町、下町を中心に形成され、それぞれ本陣、脇本陣、間屋などがおかれました。建物は出梁により2階を張り出した平入り切妻造が特徴で、江戸時代末期から明治にかけて再建されたものが多いそうです。また、江戸から明治にかけて宿場には火事がつきものだったため、大きな家と小さな家をランダムに建てて、類焼を防ぐ工夫がされたということです。
本陣は、江戸時代大名など身分の高い人の宿泊施設でした
本陣の内部
明治10年に総檜造りで建て替えられた「脇本陣奥谷」
宿場では火事が多かったため、街道の至る所に消火栓ホースなどが備え付けられています
ところで、歩いていると思いっきりクランクした道にぶつかりました。宿場は、幕府により防塞施設としての機能を持って造られており、敵の侵入を阻むために道を直角に折り曲げて、いわゆる「桝形」(ますがた)を設けていたそうです。こんな所にも歴史を感じます。
敵の侵入を阻むために道を直角に折り曲げた「桝形」
枡形の町並みの中は古い建物が残され、常夜燈や水場も宿場の面影をしのばせています。今でいうところの「官報掲示板」である「高札場」も復元され、19世紀初頭に建てられた長屋の一部である「熊谷家住宅」も残っていて、まさに江戸時代にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。さらに妻籠宿は、馬籠宿と違って坂道がほとんどなく、町並みを楽しみながらの散策が楽にできます。
街道沿いの店も趣が感じられます
お土産物屋さんの店先もとても楽しそうです
観光ガイドの松瀬康子さんは「妻籠宿はこの街道だけでなく、在郷の建物なども含めて1245・4ヘクタールという広大な地域が国の重要伝統的建造物保存地区に指定されています。ですから、見どころはたくさんあります」と話していました。
観光ガイドの松瀬康子さん
国道はここから大きく西側にそれ、妻籠宿から馬籠峠へ向かう道はひっそりとした趣のある道となっています。
馬籠宿と合わせてじっくりと時間をかけて訪れたいコースです。
妻籠宿から馬籠宿へと向かう国道沿いには、山山と田園風景が広がります
(写真はすべて田中幸美)
◆長野県の観光コースの詳細は、http://nagano.visit-town.com/
◆妻籠観光協会の公式ホームページは、http://www.tumago.jp/