今年のお正月は穏やかに晴れて、暖かで過ごしやすい日が続きましたね。明日5日は寒の入り(小寒)、これからが冬本番ですね。寒い日を快適に過ごすのに欠かせないのが1日の最後に入るお風呂です。
昔からある伝統的な医薬品「六神丸」を作る京都の「亀田利三郎薬舗」ではこのほど、100年ぶりに発売した新製品の入浴剤が好評です。
入浴剤は6種類あり、京都の四方の方角を守護する霊獣「平安四神」(北の玄武、西の白虎、南の朱雀、北の青龍)にちなんだ「四神のゆ」と天と地にちなんだ2種類の入浴剤です。冬にぴったりなのは、寒さの象徴である北をつかさどる「玄武(げんぶ)ゆ」(648円・税込み)です。体を温め、血液の循環をよくする効果があるとされています。
「玄武ゆ」は、血液循環を高める作用のある「当帰」(セリ科の多年草)、血管を拡張して血液の流れをよくし、体を温める作用がある「川芎」(せんきゅう・セリ科の多年草)、熟したみかんの皮を干したもので血圧効果作用がある「陳皮」、滋養強壮に効果がある「朝鮮ニンジン」など4種類をブレンドしました。ほのかに薬草の香りがします。
「平安四神」(右から、北の玄武、南の朱雀、東の青龍、西の白虎)にちなんだ「四神のゆ」 (写真・田中幸美)
入浴剤メーカーの入浴剤のようなハッキリした香りはしませんが、ほのかな香りが落ち着きをもたらし、体の芯からぽかぽかしてきます。
また、春には、ヨモギやローズヒップなどの天然ハーブをブレンドした「青龍ゆ」(540円・税込み)が敏感なお肌を優しくいたわります。夏には清涼感のある「朱雀ゆ」(648円・税込み)がすっきりとした気分にさせてくれ、秋には巡りをよくし、乾燥したお肌のケアでしっとりした潤いをもたらす「白虎ゆ」(540円・税込み)が最適です。
さらに、「騰蛇(とうだ)ゆ」(648円・税込み)は、消臭効果に優れた白檀やショウガが1日働いた後の気になる臭いを気持ちよく流します。「勾陳(こうちん)ゆ」(648円・税込み)は、リラックスしながらも、からだが目覚めるようなキリッとした湯上りを楽しみたいときにピッタリ。騰蛇は、十二支の「巳」で天に位置し、勾陳は、十二支の「辰」で不動性をつかさどり、地に位置するといいます。
いずれも薬草入りの袋を、約2時間湯船につけてから利用します。翌日もう1度使用できますが、香りは少々落ちるそうです。
入浴剤に含まれる天然成分 (写真・田中幸美)
「六神丸」は登録商標ではなくて、一般名なので、同じ名の製品は全国にたくさんあります。亀田利三郎薬舗の六神丸のルーツは、中国です。江戸時代中期の元禄のころ、京都・五条で紅商を営んでいましたが、のちに呉服商となりました。1889(明治22)年ごろ、親類の陶工とともに中国の上海・景徳鎮にわたった初代の利三郎さんが病気になり、現地で入手した六神丸ですっかりよくなりました。そこで日本に広めようと六神丸を輸入。その後1893(26)年に呉服商から薬屋に転業して輸入と並行して自社製品の開発を始めました。中国の六神丸にヒ素が含まれていたことから1899(明治32)年に輸入禁止となったのを機に、完全に自社製品に切り替えて扱うようになり今日に至っています。
亀田利三郎薬舗の本社店舗 (写真・田中幸美)
◆「亀田利三郎薬舗」 京都市北区平野宮本町95 ☎075・462・1640
亀田利三郎薬舗のホームページは、http://www.kameroku.co.jp/index.html