せいべいのニューウェーブ「キャラメルせんべい まつほ」をベースに開発された「キャラメルせんべい まつほ ショコラ」は一見フランスの焼き菓子のようです (写真・田中幸美)

《銀座》松屋のバレンタイン催事に和菓子職人が登場 ④「田中屋せんべい総本家」の「キャラメル煎餅 まつほ ショコラ」

グルメ, おでかけ

 いよいよ3日後はバレンタイン本番。まだチョコレートを選びきれなくてお悩み中の人もいるのではないでしょうか。そんなとき、おすすめなのが〝和菓子のチョコ〟。
 東京・銀座の松屋で開催中のバレンタインチョコレートのイベント「GINZAバレンタインアベニュー」ではお菓子だけでなく、それを考案し、実際に作った老舗和菓子店の6人の若旦那たちが売り場に立ち、それぞれのお菓子の作り方や思いなどを熱く語ってくれます。「大福やまんじゅうくらいしか知らないわ」というあなた、若旦那たちと触れ合って進化しつつある和菓子ワールドへ足を踏み入れてはいかがでしょうか。

6人の老舗和菓子店の若旦那たちのバレンタイン和菓子が集合しました。どれも美しくて見ているだけでほっこりしてきます


 和菓子の定番の1つ、せんべい。みそ味やしょうゆ味くらいしか思い浮かばない人もいるかもしれませんが、「田中屋せんべい総本家」(岐阜県大垣市)の六代目、田中裕介さんは、なんとキャメルとみそせんべいの〝マリアージュ〟を3年前に完成させました。それが革新的な「キャラメル煎餅 まつほ」です。
 ベースは同店の代表名菓で伝統の「みそ入り大垣せんべい」。これを二度焼きしてキャラメルペーストを塗っているそうです。キャラメルの甘味を引き出しつつ、みそせんべいの存在感もしっかりあり、一方で噛むごとにしゃれた焼き菓子のような気もしてきます。この不思議な味のとりこになっている人も多く、催事では売り切れとなり、男性誌のお取り寄せ特集に登場するなど人気を確立しています。
 そして、この「キャラメル煎餅 まつほ」をもとに今回のイベント用に開発したのが、「キャラメル煎餅 まつほ ショコラ」(5枚入り/1944円・税込み・各日限定30箱)。みそせんべいにフローラルな香りのサンタンデール産カカオのショコラキャラメルを塗り、粉糖をかけて二度焼きした味わい深い焼き菓子です。有機オレンジピールとフランボワーズをトッピングして2つのルックを用意。白ワインや、和洋問わずスパークリング系のお酒にもぴったりの一品です。

店頭でせんべいの解説をしてお客さんと触れ合いながら販売します=東京・銀座の松屋


 実はこのまつほのショコラバージョンは3年前に一度だけ試作したことがあるそうです。そのときは「あまりチョコレート感のない、いいできではなかったので、もうやりたくないと思っていました」と振り返ります。
 まつほのクオリティの高さはお客さんがよく知っているだけに、それをなるべく損なわずに作るのに苦労したといいます。とくに難しかったのは「焼き方」。釜で焼いていますが、キャラメルぺーストの水分は完全に飛ばしつつ、キャラメルもせんべいも焦げてはいけない。温度と焼く時間の組み合わせに、釜から出すタイミングなど微妙な組み合わせが困難を極めたそうです。
 「キャメルまつほに比べたら60%のでき」と田中さんは謙遜しますが、売り切れになるなど人気も上々です。

「キャラメル煎餅 まつほ ショコラ」は、おしゃれでまるでフランス焼き菓子のよう


 「恋に焦がれて 鳴く蝉よりも
  鳴かぬ蛍が 身を焦がす」
 商品には都々逸の一節を添えました。能管をたしなみ、和歌を詠む〝風流人〟の一面をのぞかせます。トッピングを指して、「これ蛍に見えませんか。キャメルやチョコレートを使っても、和菓子屋さんだよというところを見せたい」と話します。確かに同じようなものを作ったとしても洋菓子は都々逸や和歌の世界とは相いれません。
 「洋菓子屋さんと同じ土俵に立つつもりはなくて、僕らの世界観をおもしろいと思ってくださる方がいたら、それはそれですごいなと思います」と語ります。六代目の挑戦はまだまだ続きます。
(写真はすべて田中幸美)

松屋の「GINZAバレンタインアベニュー」の詳細は、http://www.matsuya.com/m_ginza/sp/20170125_valenti...
「田中屋せんべい総本家」のホームページは、http://shop.tanakaya-senbei.jp/


LATEST POSTS