【短期連載】ピアニストの詩③ mouse on the keys 前衛、カオスの表現から新境地へ

カルチャー, 音楽

 ピアノグループを特集した短期連載の最終回は、10月後半から北米ツアーが控えるなど、世界的に高い評価を受けるmouse on the keys(マウス・オン・ザ・キーズ)。ピアノ(キーボード)2人とドラム1人のトリオ編成が生み出す、前衛的な音楽とライブパフォーマンスの源泉に迫った。

野性的なドラムが導く、ピアノの旋律
 渾身(こんしん)の力でたたく「野性的」なドラムが、感性と知性を刺激するピアノの旋律を導き、高次元の音響空間をつくりだす―黒いスーツに身を包んだマウス・オン・ザ・キーズ3人が熱演するライブは、聴き手に尖(とが)った格好良さを提示し、真っ向勝負を挑んでくる。
 「(CD音源のような)整ったものから、ライブはカオス(混沌)というか、よく分からない良さが出てくる」とドラムの川﨑昭は語る。
 コードやリフよりも、音色、響きを重視する「ポストロック」のグループ、nine days wonder出身の川﨑が、同じメンバーだった清田敦(Piano/Keyboard)と2006年に結成。翌07年に1stミニアルバムを発売し、08年に川﨑の大学の後輩という新留大介(同)が加入して現在の体制が完成した。

   昨年9月に東京・国立新美術館、12月に上海・明珠美術館、今月にはパリ・ポンピドゥセンターで開催されている日本を代表する建築家の「安藤忠雄展」のインスタレーションの音楽を担当。どこか無機質な楽曲は、機能性を重視するモダニ ズム建築と見事に調和する。結成当初から、「安藤建築のようなコンクリート打ちっ放しに合う、そして負けない音楽をつくろうと思っていた」(川﨑)と いう。

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