夏の京都の風物詩で、日本三大祭りの一つ、祇園祭は23日、復活して3年目となる後祭(あとまつり)の「宵山」を迎えました。10基の山鉾が建てられた京都市中心部では、「コンチキチン」という祇園囃子の音色が響き、駒形提灯に明かりがともされる中、見物客たちがそよ風を受けながらお祭りムードに満ちた山鉾町のそぞろ歩きを楽しんでいました。
南観音山の上から北観音山を見るとこんな景色が見えます
16日の前祭(さきまつり)の宵山にはたくさんの露店が出て歩行者天国になり、32万人が集まるなど移動も困難なほどの混雑ぶりでしたが、それに比べると後祭は落ち着いた雰囲気の中で祭り本来の姿が味わえるようでした。中には「後祭の方がゆっくり見物できるし、風情があっていい」と話す見物客もいました。
また「宵山」は、別名「屏風祭」(びょうぶまつり)とも呼ばれるように、山鉾町の旧家や老舗などでは、家宝の虫干しも兼ねて玄関や通り沿いの部屋などに屏風や書画などを美しく飾り付け、最高のしつらえで客人をもてなすしきたりがあります。土間や通りに面した窓から鑑賞することができ、こうした屏風を見て歩くのも宵山の楽しみの一つになっています。
山鉾町の旧家や老舗などでは、玄関や通り沿いの部屋などに屏風や書画などを美しく飾り付けることから、宵山は屏風祭とも呼ばれます
1782年に円山応挙がある人の求めに応じて尾形光琳の作品を模して描いたとされる「光琳百花図屏風」=八幡山保存会
舳先(へさき)に飾る龍頭(りゅうとう)を約150年ぶりに復活させた大船鉾(おおふねほこ)の周辺には多くの人がつめかけました。「ロウソク1本どうですか。ちまき1つどうですか」と、子供たちが独特の節回しで歌う様子を眺めたり、写真に収めたりするなどしていました。
午後9時を過ぎると、翌日の山鉾巡行(やまほこじゅんこう)の晴天を祈る「日和神楽」(ひよりかぐら)の行列が祇園囃子を奏でながら、御旅所(おたびしょ)へと向かい情緒を盛り上げました。
後祭の山鉾巡行は24日午前9時半に烏丸御池を出発。橋弁慶山(はしべんけいやま)を先頭に山鉾10基が前祭巡行と逆回りで進むほか、恒例の花傘巡行も行われます。
大船鉾では、子供たちは歌を歌いながらちまきを売る姿が見られました