井浦新さんが撮影した「春日若宮おん祭」の神事

《奈良》井浦新さんが春日大社テーマに奈良で写真展開催


 俳優でクリエーターの井浦新さんが6日まで、20年に1度の社殿の大規模修理「式年造替」(しきねんぞうたい)が進む奈良市の春日大社をテーマにした写真展を「なら工藝館」で開催しています。
 写真展は、写真家、宮澤正明さんと井浦さんとのコラボレーション。2人がそれぞれ鋭い感性で切り取った「春日若宮おん祭」などの写真が展示されています。
 井浦さんは昨年12月、春日大社の「春日若宮おん祭」の一部始終を初めて撮影。その中から田楽を奉納する「田楽座宵宮詣」(でんがくざよいみやもうで)や「御旅所祭」などの神事のカラー写真5点を出展しています。

社殿の神楽  (井浦新撮影)

コロタイプ印刷で仕上げられた「春日若宮おん祭」の神事  (井浦新撮影)


コロタイプ印刷で仕上げられた「春日若宮おん祭」の神事  (井浦新撮影)



 井浦さんは、産経新聞の連載で「東大寺二月堂のお水取り」(修二会)を取材した際にお世話になった帝塚山大学の西山厚教授からの紹介で春日大社の花山院弘匡宮司と知り合い、春日若宮おん祭の撮影をお願いしました。そして、一切公になっていない古式ゆかしい神事を拝見し、その撮影許可をいただいたそうです。
 それからというもの、毎月1日に行われる「旬祭」をはじめとした神事、春日大社の杜などの自然、そして本殿や社殿などの神社の建築物などをたびたび奈良に通って撮影してきました。「春日大社の自然の中に神が宿るという信仰は、春日大社が祀られて以来、連綿と生き続けていることを強く感じます。古式ゆかしい神事が、今も変わらずに神職に受け継がれていることそのもののすごさは、筆舌に尽くしがたいものです」と話します。
 さらに、春日大社を取り巻く自然についても「春日大社は千古の杜ともよばれ、御蓋山(みかさやま)を神奈備(かんなび・神が鎮座する秀麗な山)として、自然に包まれています。その空気や気配は、参道を歩いていると感じられ、鹿をはじめとする生き物が自由に命を延び、原生林という自然がそのままにあることは、いまの時代、稀有なことだと思います」とも話しています。
 さらに井浦さんは神事やそれに携わる神職だけでなく、新調したこま犬や刀などの宝物を1200年前から受け継いでいく春日有職の匠の職人たちにも心を打たれたと強調します。そのときの思いを「匠の精神そのものの彼らと触れることのできる喜びと感動は言い尽くせません」と振り返りました。

精力的に撮影する井浦新さん(桑原英文撮影)


 そして、現在は精進潔斎しながら6日に行われる式年造替のクライマックスとなる「本殿遷座祭」(正遷宮・しょうせんぐう)と翌日の儀式の一部始終の撮影に向けて準備をしているそうです。春日大社の式年造替は1200年以上続く行事で、今回で60回目となります。
 井浦さんは、「下鴨神社」(京都市左京区)の「式年遷宮」(しきねんせんぐう)の主要な神事である「正遷宮」が行われた昨年4月に至るまでの約2年間、遷宮にまつわる神事や鎮守の森である「糺の森」の自然などをテーマに撮影。その集大成として昨年5月には式年遷宮奉祝行事の一環として写真展を開催しました。
 井浦さんの心を引きつけてやまない日本人の心のよりどころとなる神社。春日大社とともに過ごしたこの1年の思いが写真展に凝縮されています。関西にお出かけの人はぜひ、「なら工藝館」に足を運んでください。

本殿遷座祭:仮殿から修復の終わった本殿に神様にお移りいただく神事。


◆春日大社式年造替奉祝「宮澤正明・井浦新写真展」は奈良市阿字万字町1-1「なら工藝館」で6日まで。午前10時~午後6時(最終日は午後5時まで)、入場無料。

◆井浦さんがこのたび撮影した「春日若宮おん祭」の写真5点(モノクロ4点/カラー1点には直筆サイン入り)を初収録した「ポートフォリオ」を発売しています。写真は、「コロタイプ」と呼ばれる150年前にフランスで発明された印刷技法を駆使して印刷され、滑らかで深みのある諧調が特徴です。
1000部の限定販売、(6760円・税抜き)。井浦さんによる序文、おん祭と作品の解説付き。春日大社公式記念品特設売店や春日大社国宝殿、京都便利堂の三条富小路店、便利堂オンラインショップ(http://www.kyotobenrido.com/shopdetail/00000000152...) などで発売中。

「春日若宮おん祭」の写真5点(モノクロ4点/カラー1点には直筆サイン入り)を初収録した「ポートフォリオ」




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