古代からさまざまな文明が交錯してきたイスラエルと、今年3月から、香港-テルアビブ線を週4便で運航している(2018年に増便予定)キャセイパシフィック航空のビジネスクラスの魅力をお伝えする連載の第4回は、イスラエル観光の目玉の一つである死海と、ユダヤ戦争(紀元70年頃)でローマ軍に追い詰められたユダヤ民族が最後に立てこもったマサダ要塞を紹介します。
海面下423メートルという世界で最も低地にある死海。塩分濃度が約30%と海水の約10倍もあるため、生物はほとんど生息できませんが、さまざまな〝楽しみ〟に溢れています。
まずは、ラッコのようにプカプカと浮かびながら、読書をしたり、周りの雄大な景色を眺めることができます。膝を両手で抱えて丸くなり、静かな波に身を任せれば、まるでお母さんのお腹の中で羊水に包まれているよう。心から癒されます。
死海のビーチ
塩化マグネシウムなど肌の新陳代謝に欠かせないミネラルが多量に含まれるこの湖には〝エステの聖地〟という魅力も。その健康・美容効果は、クレオパトラ(紀元前69-30年)の時代から知られていたようで、考古学者によれば、彼女のために死海の成分を使った化粧品の工場が建てられたそうです。

南北に細長い死海の沿岸には、多くのスパがあり高級ホテルからカジュアルなところまで、バラエティーに富んでいます。自分好みの場所を見つけ、湖の泥を使った全身パックなど多彩なエステメニューでリラックスしてください。信じられないくらい、お肌がすべすべになりますよ。
お土産には、死海の水などから抽出した成分を使ったボディケア製品などを忘れずに!
死海の西岸近くにあるマサダ要塞も外せない観光スポットです。山のてっぺんをスパっと切り取ったような海抜(死海の水面から)450メートルのひし形の台地には、ヘロデ王(紀元前73-4年)の時代に造られた住居や倉庫、水路などの遺跡が残っています。
マサダ要塞の高台に立ち、周囲をぐるっと眺めると・・・
この場所は、ユダヤ戦争の際、ユダヤ民族が籠城した場所です。約3年間、抵抗を続けましたが、要塞は打ち破られ、ユダヤの民は集団自決(女性と子供の計7人を除く)の道を選びました。この〝悲劇〟は当時の著述家が書き残しているほか(ユダヤ戦記)、テレビドラマにもなっています。
強い日差しを浴びながらこの遺跡を巡っていて、何より驚くのはお風呂があったことです。乾いた高台の地でどうやって水を確保したのか? ガイドさんの説明を聞きながら、約2000年前の人々の知恵と高い技術に思いを馳せるのも楽しいです。
マサダ要塞にはロープウェイもありますが、体力のある人には夜明け前の〝登山〟がオススメ。死海のかなたから上る幻想的な太陽は一生の思い出になるでしょう。

このほか、死海の西側に広がるエイン・ゲディ国立公園はいかがでしょう。1年の半分以上、全く雨が降らないこの地にも、緑豊かな場所があります。それがこの国立公園です。
ダビデがサウルから逃れて身を隠したという、泉の湧き出るオアシスと、そこから流れ出る2本の川があり、大型の哺乳類から水鳥まで、多彩な動物が集まってきます。ハイキングをすれば、旧約聖書の時代から続く〝動植物のパラダイス〟を満喫できますよ。
★360°写真はRICOHのTHETA Sで撮影しています。