20世紀の絵画表現を牽引した抽象絵画の大規模な展覧会が、8月20日(日)まで京橋のアーティゾン美術館で開催中!
その絵の中に、
あなたは何を見るのか?
フランティセック・クプカ《赤い背景のエチュード》1919年頃 石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】
アーティゾン美術館で抽象絵画の歴史を俯瞰する
ポール・セザンヌは、近代絵画の父といわれている。その理由は、描写における“新しいものの見方”を生み出したからだ。それまでの画家は、風景やモチーフを、固定された一点から見て作品を描いていた。けれどセザンヌは、そのことに疑問を抱く。なぜなら人は何かを見るとき、首を傾け顔を近づけ、さまざまな角度から観察する。単一の視点では、対象物のあり方を正確に描写できないはずだと、セザンヌは考えた。そして、複数の視点から対象物を観察し、それを一枚のキャンバスに落とし込んだ。
この“多視点”という考え方が、絵画表現に新たな翼を与える。彼の思想に影響を受けた、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックはキュビスムを築き上げ、アンリ・マティスはフォーヴィスムを切り開いていった。そして、これらの革新的な絵画運動を経て確立されたのが、ABSTRACTION=抽象絵画だ。20世紀に花ひらいたこの絵画表現は、いまも進化を続けている。
現在、アーティゾン美術館で開催中の『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開』は、そんな抽象絵画の歴史を俯瞰する大規模展だ。抽象絵画の収集に力を入れてきた石橋財団コレクションから新収蔵作品95点を含む約150点、国内外の美術館や個人コレクションなどから約100点、あわせて約250点の作品を、アーティゾン美術館の全展示室を使って紹介。印象派を起点として、抽象絵画がどのように誕生し発展してきたのかを見ることができ、最後のセクションでは現代作家の新作も展示されている。
その絵のなかに、何が見えるのか? まずは無心で絵と向き合い、感じとってみよう。
約250点の作品で抽象絵画の歴史を一望
ジャクソン・ポロック《無題(縦にされた台形のあるコンポジション)》1943年頃 個人蔵
ジョージア・オキーフ《オータム・リーフⅡ》1927年 石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】 © 2023 Georgia O'Keeffe Museum / ARS, New York / JASPAR, Tokyo C4223
ヴァシリー・カンディンスキー《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》1914年 宮城県美術館
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃 石橋財団アーティゾン美術館
古賀春江《円筒形の画像》1926年頃 石橋財団アーティゾン美術館
アンドレ・ドラン《女の頭部》1905年頃 石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】
【主な出品作家】
ポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホ、クロード・モネ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、フランティセック・クプカ、ヴァシリー・カンディンスキー、ピート・モンドリアン、パウル・クレー、ジョージア・オキーフ、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、岡本太郎、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキー、マルセル・デュシャン、草間彌生、猪熊弦一郎、瀧口修造、リタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌほか
8月20日(日)まで、アーティゾン美術館で開催中!
『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』
会場:アーティゾン美術館 (中央区京橋1-7-2)
時間:10:00 - 18:00(8月11日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(7月17日は開館)、7月18日
観覧料:ウェブ予約チケット1,800円、当日チケット(窓口販売)2,000円、学生無料(要ウェブ予約)
スペシャルサイト
https://www.artizon.museum/exhibition_sp/abstraction/