Text=TAKAMASA KUJIRAI Photography=SHOTARO EBARA

利用している取り組み「副業制度」[働くも暮らすも“心地よい”ってなんだろう?未来をひらくテーブルトーク]


 働き方が多様化する今、多くの企業では、個人のさまざまな事情を尊重し、誰もが自分らしく働ける環境づくりを重視している。副業制度を利用して毎日をより充実させているのは、SmartHRの竹内裕樹子さん。日々の暮らしにどんな変化があったのか。コーヒーブレイク中に話を聞いた。


最後のピースは“副業”
幸せな人生の3つの円

 豊かな人生とはどんなかたちなのか──コロナ禍から人材育成の技術であるコーチングを学び、昨年11月から講師としての副業も始めた竹内さん。彼女がたどり着いた答えは、「本業」「副業」「日々の充実感」という3つの円だった。

 「転職前は仕事が忙しく、自宅と会社を往復するだけの日々でした。だからこそ、新しい世界をもうひとつ自分のなかに加えたくて。同時に、自分のキャリアの活かし方を考えたとき、副業という選択肢がありました」

 近年、自宅でも職場でもない第三の場所として「サードプレイス」の意義が知られるようになったが、その多くは趣味や娯楽の場だ。なぜ、仕事を増やすことにしたのだろうか。

 「趣味がピアノや声楽など、ひとりで技術を磨くものばかりで、逆に自分を追い込んでしまうことも。発表会以外はあまりリフレッシュにならなくて(笑)。そんな中、コーチングを通して、誰もが息をしやすく、やりがいをもって働ける世界に少しでも近づけたらと思うようになりました」

 竹内さんは今年3月、Smart HRに転職し、人材・組織開発やタレントマネジメントを担当している。コーチングをあえて本業にせず、副業に選んだのには理由がある。

 「会社員としても働いているからこそ、伝わる言葉があると思うんです。自分にとっても結果的にいいシナジーになっているというか。あと、人生を3つの円で描いたとき、それぞれが大きくなって重なり合うほど、豊かになるのではないかと考えていて。いまの会社に転職して『本業』と『副業』で近しい世界観を選んだことで、思い描く社会に少しでも近づけるし、自分自身の『日々の充実感』という3つめの円も自然と広がっていくような気がします」

 本業も副業もどちらも楽しんでいて、「最近、リフレッシュする時間がないことに気がつきました」と朗らかに笑う。「本業」と「副業」は、本来なら同じ仕事という枠に収まる。けれど、分けて考えてみると副業という選択肢も、日々をより満ち足りたものにするためのひとつの方法になるのかもしれない。


竹内 裕樹子(株式会社SmartHR勤務)
予備校のマネージャーや教育・研修機関を経て、2025年3月に株式会社SmartHRに入社。キャリアコンサルタントの資格をもち、人材育成や組織開発の領域に長く関わってきた。現在は銀座コーチングスクールで講師を務めながら、関連イベントの企画にも取り組む。


利用している取り組み「副業制度」

 “誰もがその人らしく働ける社会”を目指しているSmartHR。仕事に支障をきたさないなどのルールを定めたうえで、申請制で副業が可能。多くの社員が利用している。

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副業を通じて出会う人々が刺激に
人生の先輩に見つけた“理想のシニア像”

 転職後も副業を精力的にこなす竹内さん。受講生は増え、講師を務める銀座コーチングスクールでは新人賞も獲得した。副業を通じてさまざまな出会いも生まれ、60代の先輩の働き方に感銘を受けることも。今では、その方を老後のロールモデルとして意識しているという。

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私のリラックスできる場所

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ペスカビアンカ (Una pesca bianca)
住:東京都目黒区駒場2-14-1 プレックスコア1F
営:ランチ 11:30~14:00(L.O.14:00)/ディナー 17:30~22:00(L.O.21:00)
休:火曜日

前職の会社員時代、毎日のようにランチで通ったイタリアンは、スタッフに好みを覚えてもらうほど。ランチセットに400円で追加できるティラミスは「忙しい日はこれを楽しみに、元気をチャージしていた」というお気に入りの一品だ。
※ランチセットはドリンク付き





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