音楽を愛する彼らの苦悩が、胸に迫りました
EXILEの中心核のパフォーマーでありながら、役者としても精力的に活動を続けるAKIRA。俳優・大森南朋と初の共演でW主演を果たした映画『この道』では、合唱の指揮やバイオリン、ピアノの演奏に初挑戦。日本の童謡誕生100年を記念して公開される本作は、童謡の礎を築いた自由奔放な天才詩人・北原白秋の波乱万丈な半生を、エリート音楽家・山田耕筰との出会いとともに描き出したものだ。北原白秋を大森南朋が、山田耕筰をAKIRAが演じる。日本歌曲の歴史を築き上げてきた偉大な人物なので、当初はプレッシャーもあったと語るAKIRA。撮影現場はどのような雰囲気だったのだろうか。
「破天荒な白秋と、生真面目な耕筰。いい意味で対照的な凸凹コンビを大森さんと2人で築いていくのですが、監督が互いの個性を引き出しながら演出してくださったので、自然体で演技に挑めました。本番も基本的には1回撮り。その場で生まれるものを大切にする空気がありましたね」
ときにユーモラスに、ときに熱く描かれる、息ピッタリな2人のかけ合いも印象的な本作。衝突しながらも、震災を機に手を取り合い、子どもたちを元気づけるため、数々の童謡を世に送り出していく彼らだが、時代の流れによって一転。軍歌の作曲を迫られ、苦悩の淵に立たされる場面も出てくる。
2人の功績と並べて話すのはおこがましいですが…と前置きしつつ、EXILEとしても震災後に曲をつくった経験をもつ彼にとっては、感じることが多くあったそう。もし自分たちも当時と同じような状況になったら、と思うと、こんなに無念なことは無いだろう、と静かに話す。
「葛藤を抱えつつ、それでも希望を信じて音楽をつくっていこうとする彼らの姿には、なんとも言えない、感じ入るものがありました」
そう真摯に語る彼の姿からは、劇中の耕筰と変わらない、まっすぐな音楽愛が感じられた。
あきら
EXILEの中心核としての活動に加え、数々の映画、ドラマ、舞台、声優などさまざまな分野で活躍。2009年の映画『ちゃんと伝える』では日本映画批評家大賞新人賞を受賞。10年中国公開の『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』にてアジア映画デビュー。17年にはマーティン・スコセッシ監督のハリウッド作品『沈黙‐ サイレンス‐ 』に出演。またアジア人初となる「ラルフローレン」のアンバサダーに就任し、18年は広告イメージモデル契約を結ぶ

『この道』
1月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
監督:佐々部清
脚本:坂口理子
出演:大森南朋/AKIRA/貫地谷しほり/松本若菜/柳沢慎吾/羽田美智子/松重豊 ほか
配給:HIGH BROW CINEMA