時代劇初主演作 「日本が誇る文化、知ってほしい」


昨年公開し、話題を集めた映画『たたら侍』のテレビ初放送がついに決定。日本古来の伝統を美しく雄大な映像で描き、世界各国の映画祭でも賞賛された作品だ。今作で主演を務めたのは、劇団EXILEのメンバーでもある青柳翔さん。錦織良成監督とは、2013年の映画『渾身』以来2度目のタッグとなる。

「『渾身』のプロモーションの控え室で、監督から〝次も一緒に作品をやりたいね〟と言っていただけて。どういう作品をやりたいかと聞かれ、僕が〝時代劇にチャレンジしてみたい〟って答えたんです。その時は、なんで時代劇という言葉がでてきたのかはわからないけど(笑)、挑戦してみたかったんですよね。そうしたら監督が、〝実はね、次にこんな作品を書いていてね〟と、今回のたたら侍の話をしてもらったんです」

 この運命的な会話から、今作はスタート。物語の舞台は、戦国時代の奥出雲。そこには、唯一無二の玉鋼を生み出す小さな〝たたら村〟があった。青柳さん演じる伍介は、村で唯一たたら技術を継承する村下の長男で、その宿命を背負いながらも、強くなりたいという想いを抱えた青年。あるきっかけからその宿命を一度は捨て、侍を目指し戦場へと向かう。しかし厳しい戦乱の世を目の当たりにすると村へ舞い戻り、やがては村全体を戦に巻き込んでいく…。侍が題材の作品と聞けば、ヒーロー物語をイメージしてしまいがちだが、一貫して挫折を大きく描いた今作は少し毛色が異なる。

「言ってしまえば、伍介が全て招いてしまったことなんですよね。いつも挫折を繰り返して、一歩踏み出そうとしても、また失敗して。そうやって挫折ばかり経験してきた伍介が、復讐心にとらわれながらも、最後にはどう行動を起こすのか。そういうテーマ性を重視した作品になったと思います」

 3カ月に及ぶ島根での撮影。舞台以外では、初めての挑戦となる時代劇とあって、「もちろん、緊張やプレッシャーはありました」と語る。撮影に入る前から、錦織監督とはディスカッションを重ねていたそう。

「役作りに関しては、監督やスタッフさんによく相談していましたね。監督からは最初に、より多くに人に観てもらいたいから、あえて方言は使わないっていうこだわりを教えてもらいました。あと、伍介が最後にとる行動も、この映画の大きなテーマのひとつなんだと説明されました。でも当時は、見たこともない時代の役を演じることに対して、めちゃくちゃ躊躇していたんですよ」

 そんな悩みを払拭してくれたのが、あるスタッフさんの言葉。

「僕がすごく考え込んでいるとき、〝青柳くん大丈夫?〟と、スクリプターの方が相談にのってくださって。〝いろんな監督さんがいるけど、大丈夫だよ。その時代に生きている人はもう誰もいないから。青柳くんが堂々と演じたものが正解だからね〟って言ってくれたんです。その言葉を聞いてすぐに、〝わかりました!〟となって(笑)。もちろん、実際にその人たちがどう生きたかというのを真剣に考えるのも大切ですが、確かにそうだなって腑に落ちて、そこから気持ちを切り替えることができました。本当にスタッフさんに支えられたことが、すごく大きかったですね」


 新しいジャンル、そして難しい題材への挑戦。作中、表情だけで演じるシーンも印象的で、役者・青柳翔の新たな一面が垣間見えた今作。けれど、当の本人はいたって謙虚。

「役者としての手応えは、正直よくわかりません。けれど、大先輩方とご一緒させていただいて、お芝居をするときの佇まいとか、すごく勉強することができました。例えば、(高橋)長英さんとか、立っているだけでその時代の人に見えてしまうんです。その存在感のすごさを、共演者さんたちのおかげで感じることができました」

 今回のインタビュー中、彼の口から何度も語られたのは、スタッフや共演者陣をはじめ、支えてくれた周りの人たちへの感謝と尊敬の気持ち。

「3カ月の間、現地で撮影させていただきましたけど、現地で美術を作っている人がいたり、東京で衣装を作っている人がいたり。改めて作品って役者だけのものじゃなくて、監督とか、スタッフさんとか、場所や差し入れのことなどたくさん協力してくださった現地の方々を含めて、みんなで作るものだなと感じました。例えば、すごくこだわったオープンセットは、僕たちが撮影に入る半年前くらいから美術さんたちが住み込みで作ってくださっていたんです。その中でお芝居できることはすごく光栄でしたね。しかも、こんなに日数をかけていい映像を撮れるという作品も、今は少なくなってきているのかなと思うので、本当に貴重な経験でした」

 この作品に関わるまで、日本の伝統文化には「あまり興味はなかった」と青柳さん。神話が多く残る出雲での思い出を聞くと、微笑ましいエピソードが返ってきた。

「監督が、〝出雲は雨が降らないんだよ〟って言った10分後くらいに、急に雨が降り出して。みんなで〝あれ、監督?〟ってなったことが印象的でした(笑)。現場は、いつもアットホームでしたね。出雲という土地もすごく神秘的ですし、いろんな伝説があるところなので、そこにいると心地いいんです。空気もきれいで、すごくいい場所だなって思っています」

 映画公開後は、今まで時代劇に触れたことがない若い世代を虜にしたことでも話題となった。彼が思う、時代劇のよさとは?

「今まで知らなかった伝統や文化を知れることが、時代劇のすごくいいところだと思います。僕自身も、たたら製鉄を知ったのは、この映画をやるときに教えてもらってからでした。たたら製鉄は知れば知るほどすごい技術ですし、日本が誇れる文化なのに、それを知らないままでいるのは残念なことですよね。その時代に生きている人が今はいないけれど、時代劇を通して知るきっかけを与えることができるのかなと思います」

 そんな映画『たたら侍』は、5月6日(日)19時から、時代劇専門チャンネルで待望のテレビ初放送となる。併せて、青柳さんがナビゲーションとして参加したドキュメンタリー作品『海を越えた日本刀〜その美と魂の軌跡〜』も、同日「たたら侍」の放送直後に放送される。

「玉鋼を作る人たちの素晴らしさや、日本刀の魅力をナレーションさせていただいた番組です。『たたら侍』とあわせて観ていただいたら、映画の感じ方がまた変わるかもしれませんね。今回の映画は、チーム一丸となってとにかくいい映像を取ろうと取り組んだ作品です。その作品をテレビで多くの方に見ていただけたら、本当に嬉しいですね」

あおやぎ しょう
1985年4月12日、北海道生まれ。劇団EXILEのメンバー。2009年の舞台『あたっくNo.1』で俳優デビュー。以来、テレビや映画、舞台などで活躍。2016年には1stシングル『泣いたロザリオ』で歌手デビューも果たす。5月24日には、写真集『AOYAGI SHOW』を発売する。

映画『たたら侍』
5月6日(日)19:00〜/5月26日(土)23:00〜、時代劇専門チャンネルで放送 原作・脚本・監督:錦織良成 エグゼクティヴ・プロデューサー:EXILE HIRO 出演:青柳翔(劇団EXILE)、小林直己(EXILE /三代目 J Soul Brothers)、AKIRA(EXILE)、田畑智子、笹野高史、津川雅彦ほか

ドキュメンタリー番組『海を越えた日本刀〜その美と魂の軌跡〜』
5月6日(日)21:15〜/5月26日(土)深夜1:15〜、時代劇専門チャンネルで放送 出演(ナビゲーター):青柳翔(劇団EXILE)

時代劇専門チャンネル公式サイト https://www.jidaigeki.com/
ご加入のお問い合わせ:0120‐200-292(受付時間:10時~20時/年中無休)

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応募方法
下記必要事項を記入いただき、メールでご応募ください。
・件名:「たたら侍」プレゼント
・本文:氏名/生年月日/メールアドレス
・宛先:metro@sankei.co.jp
・締切:2018年5月20日(木)23:59まで
・発表:当選者の発表は当選メールの発送をもって代えさせていただきます。
お問い合わせ
メトロポリターナプロジェクト TEL:03-3243-8504(平日 10:00~17:30)

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