恋愛不器用で何かとこじらせがちな女子、「空回りちゃん」。
そんな乙女の恋するハチャメチャ劇場を入り口に、オススメのアートをゆる〜くご案内します。
人形はただのモノ?
心を持つように思えて捨てられなかったり、ふと気配のようなものを感じて怖くなったり、「人形」は身近だけれど、少しミステリアスな存在。双子のクリエイター、クエイ兄弟のアニメーションも、そんな人形たちが主人公です。暗い色味に統一された古びた風合いのセットや表情のない人形は、美しくもどこか不気味。時代も国もわからない精緻な世界は、暗い夢の中のようです。人形のぎこちない動きをずっと見ていると、だんだんコミカルにも見えてくるから不思議。まるで生きているように感じられてきます。モダンな雰囲気の松濤美術館で、この不可思議な世界観に浸れば、都会の喧騒も夏の暑さも忘れられそう。
クエイ兄弟−ファントム・ミュージアム−
会期:7月23日(日)まで
会場:渋谷区立松濤美術館(渋谷区松濤2丁目14-14)
開館時間:10:00~18:00(金曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:7月10日(月)、18日(火)

illustration&text: 黄身子
某美術雑誌の編集部に勤務しながら、イラストレーターとして活動。Twitterでは自意識過剰と恋愛不適合をゆるコミカライズする漫画「毎日シンドローム」を連載中。