細密で神秘的な作品を制作し、31歳で早世した銅版画家、清原啓子(1955~87年)。没後30年を記念する展覧会が、東京の八王子市夢美術館で開かれている。
清原が残した銅版画は30点しかなく、どれもが驚くほど緻密で繊細だ。たとえば「久生十蘭(ひさお・じゅうらん)に捧ぐ」。朽ちた建物と有機的な形の大きな植物などで構成されている。モノクロームの画面には、人の頭部や壊れた人形のようなものが横たわる。いくつもの球体が転がり、見開かれた目もある。ニードルと呼ばれる細い針のような道具で銅板に線描。執拗(しつよう)な細部へのこだわりは緊張感を生みだす。
