一年で最も寒い今こそ訪れたい展覧会が、原美術館(東京都品川区)で開かれている。具象画-特に肖像画に新風を吹き込んできた米女性作家、エリザベス・ペイトン(51)の個展「Still life:静/生」だ。小さな絵を一点一点味わううち、胸の中に温かいものが満ちてくる。(黒沢綾子) 透明感のあるみずみずしい色彩、すばやい筆致と繊細な線。どの絵画もサイズは小さいが、空間を一変させる強度と美しさをたたえている。
キャリアの始まりは1990年代にさかのぼる。ちょうど、前衛絵画イコール抽象画というこだわりを持たない若い世代が、続々と“新しい具象画”に取り組み始めた時代。ペイトンも伝統的ジャンルである肖像画に挑み、歴史を参照しつつ、新鮮な表現で国際的に注目された。ただ意外にも、日本の美術館で個展を開くのは今回が初めてという。


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