年に一度、新橋演舞場が劇場から華やかな大料亭へと変わる「東をどり」。舞台では芸者衆が三味線の音色に合わせて優雅に舞い、老舗料亭の美味と和洋の銘酒に舌鼓。ふだんは「一見さんお断り」の花柳界の扉が開き、貴重な料亭文化と日本の伝統芸能を体感できる。銀座に店を構える老舗料亭「新ばし 金田中」の四代目で、東をどりを主宰する東京新橋組合の頭取も務める岡副真吾(おかぞえ・しんご)さんと、置屋「千代田」に所属する新ばし芸者、春千代さんに話を聞いた。

東をどりは今年で98回目を迎え、その歴史は大正時代にさかのぼる。1925年(大正14年)に新ばし芸者の“芸を披露する場”として新橋演舞場が建設され、そのこけら落としとして開催されたのが始まりだ。「コロナ禍に見舞われた一昨年は映像上映、昨年は感染症との共生を探りながらの通常開催に挑みました」と岡副頭取。時代に合わせてかたちを変えながら、先人たちが築いた料亭文化と“芸の新ばし”と呼ばれる花柳界の伝統を、いまに伝えている。


芸者衆の踊りには、花柳流、西川流、尾上流の三つの流派があり、芸者衆はそれぞれの家元の直弟子として指導を受ける。踊りの総合演出は三流派の家元が毎年入れ替わりで担当し、今年は日本最大の流派“花柳流”の若き家元、花柳壽輔(はなやぎ・じゅすけ)さんが務める。「東をどりは、普段稽古をしている流派の枠を超えて、一緒に芸を披露する新橋芸者の晴れ舞台です。総合演出を担う家元ごとに、毎回趣向の異なる舞台が楽しめますが、フィナーレだけは、昔も今も変わりません。ぜひ、ご覧いただきたいですね」と岡副頭取。



幕間(まくあい・一幕が終わり次の幕が開くまでの間)も楽しみのひとつ。「東京吉兆をはじめとした料亭が、ひとつの献立からそれぞれの個性をいかしてつくる事前注文の“陶箱松花堂弁当”や“酒肴の折詰(数量限定で当日販売もあり)”、料亭が吟味した日本酒と特製の肴が楽しめるコーナー、ドン ペリニヨンが味わえるシャンパンブースに、立礼茶室や江戸の文化が息づくお土産コーナーまで。非日常の空間が広がります」と岡副頭取。舞台の観劇だけではなく、料亭を訪れた気分で美酒佳肴と和のこころを堪能できる3日間。どうぞお見逃しなく。

第98回 東をどり
ー季(とき)めぐる新ばしー
新橋演舞場
中央区銀座6-18-2
全8回公演
5月21日(日)
壱の回 開演11:00~終演12:30
弐の回 開演13:40~終演15:10
参の回 開演16:20~終演17:50
5月22日(月)
弐の回 開演13:40~終演15:10
参の回 開演16:20~終演17:50
※壱の回はありません
5月23日(火)
壱の回 開演11:00~終演12:30
弐の回 開演13:40~終演15:10
参の回 開演16:20~終演17:50
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