おだやかな日常こそ、躍動の鍵
「正直なところ、このチームはまだ結果を勝ち取れていないです」
慎重な口ぶりでそう話すのは、Bリーグ屈指の点取り屋、川村卓也選手。彼の所属する横浜ビー・コルセアーズは現在、地区での順位を最下位に落としており、チームは苦戦を強いられ続けている。その中で、負けたから得たものもあるという。
「負けた後でも、前を向けるかどうかが重要です。モチベーションを保ち、次に向かう姿勢をつくる。そんな選手が多いことがチームの強みです。でも、僕はまず負けることが大嫌いなんです」
彼の勝利への執着心は強い。“スイッチ”が入ると、感情をあらわに、エネルギーを使い切るまで勝利にひた走る。
「“やられたらやり返す”精神を持った、気持ちの入ったプレースタイルが理想です」
うまくなりたい、負けたくない。その気持ちは、小学生の頃から変わらない。けれどオフになると一転、子煩悩な優しいパパに早変わりする。
「コートの外での僕を見ると、驚く人も多いかもしれないです(笑)。オフは気持ちを切り替えて、家族がいちばん」
休みの日には、横浜の山下公園に出かけ、散歩をしながら子どもたちとの時間を大切に過ごす。まとまった休みがあれば、沖縄へ家族旅行に行くことにしている。その際は、予約から運転まで彼が手配する。
「奥さんには家の事はまかせっきりですから。たまの休みはゆっくりして欲しいんです」
闘志あふれるエースのエネルギーは、おだやかに過ごす家族との時間の中から生み出されているのかもしれない。