「泣く子はいねが~。むっ、涙の匂い!」。悲しみにくれる人の元に、ある日こんな声が届く。現れたのは、人の言葉をしゃべる半纏(はんてん)姿のネコだった-。名もなき普通の人たちががむしゃらに生きる姿や、家族らの「無償の優しさ」などが描かれた人情もの漫画だ。
「生きるということは、誰でも傷ができ、弱っていくということ。読んでくれる人に、『少しでも元気を出してほしい』と思いながら描いています」
物語は1話完結型。毎回異なる悩みを抱えた人が登場し、家族の死や失業、健康上の不安などを主人公のネコ(名前は遠藤平蔵)が聞く。別に問題を解決してくれるわけではないのだが、ただ愚痴を聞いたり、黙って寄り添ってくれたりする。セリフの一言一言が、不思議と心に染みる。
