llustration: Shogo Sekine

《東京#CODE》#就職活動のセ・リーグ&パ・リーグ?


 先日のこと、就職相談を受け ている知人から聞いた話です。学生「あの会社、パ・リーグなんで、内定もらったんだけど行きたくないんですよ」。知人 「パ・リーグ? あれ、あの会社球団持っていたっけ?」学生「いや、野球じゃなくて、パワハラ系の"パ"リーグってことっす」。知人「(笑)。じゃあセ・リーグは?」 学生「もちろんセクハラ系。ちなみに両方ある会社は"セ・パ両リーグ"っす」!!! いやあ、うまいこと言いますなー。

 今の就職活動の話を学生から聞いていると、昔とはかなり違った様相になっていると気づきます。 19年新卒の求人倍率は 1 •88倍(リクルートワークス 研究所調べ)。7年連続で上昇していて、学生にとっては売り手市場。就職氷河期と言われていた頃には考えられないほど、学生たちが会社を選ぶ時代になった、ということです。また、ここ数年の就活で一番変わったのは、情報がすぐシェアされる時代になった、というところです。

 先日あるデータがネット上で話題になりました。「就活企業を嫌いになった理由. pdf」というデータです。ある東大生が調べた、就活で嫌いになった企業リストです。ずらりと並んだ有名企業名。その横には「嫌いになった理由」が書き込まれています。Twitterで募集されたというそのアンケー トは、リアルな学生たちの声で あふれています。例えば「内定を断ったときの対応。もはやヤクザだった」(某ECサイト)、「面接官の態度が高圧的」(某旅 行代理店)、「男尊女卑が甚だしい」(某メディカル系)などなど。 匿名の学生の主観のみの書き込みなので、真偽は100%わからないにしても、生々しい就職試験の現場の空気を感じます。 今までだったら噂話で済んだことも、SNS時代ではすべてが晒(さら)されてしまう。サービス業でも何か文句があれば、直接のクレームよりもSNSに書き込まれる方が痛手が大きい。ネガティブな情報ほど早く回るのは、世の常です。

 最近起きているスポーツ系の不祥事の数々も、今までだったら現場にいた数人が感じていた違和感も、Twitterですぐ全国区に拡散されてしまうことが発端です。その破壊力はここ数年でも増大しています。最近の学生が、「昭和な会社に行 きたくない」というのも納得。 彼らから見れば、昭和はしがらみ、パワハラ、セクハラだらけの負の温床だと。これには昭和なおじさまから「高度成長期の昭和があったから、君たちは裕福な日本で生きてこられたんじゃないか」という反論もあるんですけどね。まあ、そこは時代が変わってしまった、としか言いようがありません。

 #metooの時にも感じたのですが、悪は晒される時代。あの日大の内田前監督が「SNS 拡散には対応仕切れない。」と語っていたように、おじさん世代はこの拡散力の怖さがいまいちわかってません。

 いい人材を取るためには、いい会社でなくてはダメってこと 。今の若者に迎合しろと言ってい るのではなく、そういう時代に合った会社じゃないと、 21 世紀 は戦えないってことです。よく解釈すれば、こういったSNS監視によって、自浄作用が起きればいいんじゃないかなと。さて、 皆さんの会社はどちらですか?やっぱり、働きやすい、メジャーリーグじゃないとね!

THIS MONTH'S CODE

#19年新卒の求人倍率は1.88倍

バブル絶頂期の1991年の求人倍率は2.88倍。そ の頃のバブル入社組がいまや人事部長クラス、という背景もなんか皮肉ですな。

#就活企業を嫌いになった理由.pdf

「くらのすけ調べ」というブログがTwitter 上のGoogleフォームで取ったアンケート。PDFなので企業側が気付いても書き込み、改ざんできないというデータ。ブロックチェーン時代の到来を感じる。

#昭和なおじさま

News Picksの広告で巻き起こった「さよなら、おっさん」論争。「おっさんは特定の世代でなく、生き方だ」というのも納得。





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