llustration: Shogo Sekine

《東京#CODE》#女子会おじさんはなぜ愛される?


 ある日の会議です。「今度就任した部長、めっちゃ女子力高いんですよ」と女子二人が報告してくれました。「若干オネエ言葉だし、ジャケット肩掛けだし、小指立っているし、しかもスイーツ好き」。「え? オネエさんではないの? カミングアウトしてないだけで」と聞くと、「いやいや、これが既婚者で(笑)」と。最近こういうおじさん、思い当たりませんか?

 近頃すっかり肩身が狭い"おじさん"であります。日大アメフト部にはじまり、アマチュアボクシング界しかり、この社会の大転換期についていけないおじさんが引き起こす不祥事、事件も数多く発生しております。ここでいうおじさんとは、年齢や性別にかかわらず、あくまでも前時代的で社会の変化についていけない旧世代の人々のことを指します。この"おじさん"には、以下のような特徴があります。1、パソコン、スマホが苦手 2、飲むとほぼ昔話か説教しか話さない 3、友達が社内にしかいない 4、社内の女性を取引先などに「うちの女のコ」と呼ぶ(男女逆の場合もあり) 5、スーツがくたびれている…などです。どうですか? 周りにいませんか?

 もちろんかっこよく年齢を重ねて、部下から愛されるおじさまもたくさんいます。しかし、そういうおじさまは大抵出世していますので、奢ってくれたり、相談に乗ってくれたりするので女子受けもいいのです。

 "おじさん"を擁護するとすれば、「24時間戦えますか?」と言われて働いてきたのに、急に「働き方改革」とか「セクハラ、パワハラ」だとか言われ、俺たちの時代のルールが通用しなくなった。パソコンが苦手なだけで社内ではお荷物扱い、誰からも褒めてもらえない。そんな理不尽ってないですよね、やれやれ、と。しかし、こういうおじさんたちが社内で生き残る方法があるんです。それが女子会おじさんなのです。

 私の知り合いのおじさんで女子社員に人気の某氏は、すんなりと女性コミュニティに入ってきます。スイーツ好きで、女子社員と一緒に美味しい店を攻略したり、ランチに混じって出かけています。時には奢ってくれるし、会社の愚痴も聞いてくれるのでとても重宝されます。ここ、大事なポイントです。女子会おじさんは求めないんです、与えるだけ。下心も出さないので、女子も心を許すようになります。

 女子会おじさんは女性に対して対等だから広く愛されます。しかも、退職して隠居生活になっても、近所付き合いなど女性が多いコミュニティの免疫があるため孤立しません。おじさんが孤立するのは、とにかく変化の多いこのご時世に、頑なに自分の生き方を変えないことが原因。一方、女子の情報力は豊富。噂話だけではなく、最近の流行りのレストラン、話題のスポット、映画、なんでもどんどん手に入れる貪欲さは、おじさんに欠けている要素です。女子会おじさんはそういった女性たちからいろんな情報をゲットしているのです。つまりWin-Winの関係ができているというわけ。

 ただし、これが一線を超えたりすると、またややこしくなります。逆転して女の敵、です。一切女性に手を出さないことが生き残る秘訣。それでもメリットは余りあるので、女子会おじさんが増えたらハッピー。そうすれば、パワハラもセクハラも減って平和な社会になるよね。これぞ世界平和です!

THIS MONTH'S CODE

#おじさん

ニュースメディアアプリNewspicksでは、中刷り広告で「さよなら、おっさん」というコピーを大々的に展開して物議を醸した。

#「24時間戦えますか?」

1989年頃に栄養ドリンクの「リゲイン」のCMで流行したコピー。バブル期のサラリーマンも今は50代半ば。あの頃は確かにみんな働きすぎて、ギラギラしてました。

#スイーツ好き

スイーツビュッフェや、都内あんこ巡りなど、到底おじさん一人ではいけないところも、女子会に混じれば行けてしまうというメリットが。





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