illustration: Shogo Sekine

#パール男子爆増中!《東京#CODE》


 「最近、パールアクセが売れているんです」。アパレル不況と言われておりますが、売れているものは売れている。その筆頭がアクセサリー市場です。とくにこのところパールアクセが人気。「しかも、男性に売れている」のだそうです。確かに最近、表参道などでパール男子を見かけます。彼らのスタイルは、黒のスウェットにパールをジャラジャラ。または片耳にパールのピアス。髪型はウルフカットで、つまりBTSのVことキム・テヒョンそのまんま!そう、このパール男子爆誕の裏にBTSあり。Vがよく着用してるパールは《シャネル》のコスチュームジュエリーですが、シルバーアクセと重ねづけしたり、とにかくかっこいい。彼の中性的な魅力と相まって、一気に流行が広がったようです。中性的男子のファッションアイコンとして、BTSが流行らせたものは数々あります。メンズメイク、ウルフカット、ネイルアートなどなど。とくにメンズメイクはもはや違和感なく、韓国コスメを買いに走る日本男子も少なくありません。

 “ジェンダーレス・パール”に注目が高まり始めたのは2年前くらいから。ファッションデザイナーのマーク・ジェイコブスのほか、ハリー・スタイルズなどのメンズセレブたちがパールを身につけ出したのもこの頃です。昨年は日本の老舗ブランドの《ミキモト》が《コム デ ギャルソン》とコラボをしてこちらも話題に。これまでメンズアクセサリーというとシルバー系とか、ヒップホップならゴールド系(いずれにしてもゴツめ 笑)が主流でした。ボリュームがあって、より強度があるのが普通だったのです。パールは数あるアクセサリーのなかでも、清楚、清純で、お姫様要素が強く、男性からいちばんかけ離れたものと思われがちでした。

 パールは、女性の象徴でもありました。ボッティチェリの絵画「ヴィーナスの誕生」では貝から生まれた美と愛の女神ヴィーナス(ギリシャ神話ではアフロディテ)が描かれています。彼女が海の泡から誕生したとき、体から払い落とされた泡の水滴が海に沈み、真珠になったという。この神話でも女性の象徴として語られる存在でした。

 女性と男性で比較すれば、ファッションアイテムは圧倒的に女性のものが多く、選択肢は無限です。ミニスカもワンピースも女性のもの。でも逆から見れば、それってズルくない? ということでもあるはず。男子も女子アイテムを身につけてもよくない? なにより、そのジェンダーの境界線って意味あったっけ? ←いまココ、です。

 BTSついでにいうと、最近下北沢で流行っているのがDIYでつくるビーズアクセサリーです。下北線路街の「空き地」に出店しているビーズパーツのお店では、パーツを組み合わせて自分だけのネックレスやマスクストラップがつくれます。秋の青空のもと、友人やパートナーと一緒にアクセをつくるのはめちゃ楽しい。このビーズアクセもBTSが発信源。華奢なネックレスを重ねづけなんて、ほんとガーリー。中性的で可愛さ爆あがり! 思えば日本の江戸時代にだって男が”かぶく”ファッションもあったし、ロココ時代のヨーロッパ貴族は宝石だって服だって、女性以上にゴージャス。むしろ、近代社会のほうが窮屈だったということかもしれません。ファッションの性差なんてナンセンス!中性的なおしゃれトレンドはまだまだ続きそうですね。
 

THIS MONTH'S CODE

#ハリー・スタイルズ

イギリスのボーイズグループ、ワン・ダイレクションのメンバーで、現在はファッションアイコンとしても注目を集める。ジェンダーレスなファッションで常に話題に。

#《ミキモト》が《コム デ ギャルソン》とコラボ

2020年に発売された話題のコラボ。女性的なパールをエッジが効いたデザインに仕上げ、年齢、性別を超えたジュエリーをつくり出した。

#BTSが発信源

「Dynamite」のミュージックビデオで着用していた、韓国ブランドの《VINTAGE HOLLYWOOD》がとくに有名。






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