10月中旬の結成20周年記念公演「鱗人輪舞」(リンド・ロンド)を成功させたダンスカンパニー「DAZZLE」(ダズル)のメンバーら2人が立ち上げたファッションブランド「MUBAC」(ムバク)が14日まで表参道で展示・販売会を開催しています。
MUBACは今年1月にブランドデビューしました。ブランドを立ち上げたのはDAZZLEのメンバーで、ダンサーとしてだけでなく脚本家やプロデューサーとしても活躍する飯塚浩一郎さんと、DAZZLEのマネジメントを担当する前淵沙耶香さんの2人です。2人は慶応義塾大学の同窓生です。
今回2回目となる展示販売会は、「MUBAC」(ムバクエーシー・表記はムバクと同じですが、読み方が異なります)という「MUBAC」のメーンラインをベースに、よりアクティブな体の動きに対応するスポーツラインとして誕生した新作を発表しています。
請いネービーやグレー、ホワイトといったモノトーンの色が基調の「MUBAC」と「ムバクエーシー」=東京・神宮前 (写真・田中幸美)
ムバクエーシーのアイテムは「フーデッドパーカー」に「アンコンジャケット」、それに「ワンピース」。ワンピースはストレッチに吸水、速乾、そしてUVなどの機能性に優れていて、ジムで一汗かいた後の会議やデートなどのあらゆるシーンにフレキシブルに対応できます。ヒ-ルと会わせればゴージャスに着飾ることができるし、思いっきりくだけたビーサンなどでカジュアルさも演出できます。デザインを担当した前淵さんは「スポーティーなものを作る素材ですがあえて前身頃と後身頃の長さを変えたり、ウエストマークすることでドレッシーな感じを与えています」と話します。
また、フーデッドパーカーは、ネービーとグレーの2色で、素材はコットンとテンセル、ポリの混紡です。「究極のパーカーを作りたいという思いがあって、いろんなシチュエーションに合うパーカーを作りました」と飯塚さん。パーカーはスポーティーですが、このムバクエーシーは、柔らかい職場なら十分着ることのできる形の美しさを持ち合わせています。ジャケットの下に着ることができるようにタイトな形にして、きれいなシルエットを作り出したそうです。さらに、ポケットのファスナーをあえて隠したり、親指が指抜きになっていて、上から手袋が装着できるなど随所に細かいこだわりが見られます。ファスナーも通常使われるひもだとスポーティーで子供っぽくなってしまうので、あえてリボンコードにしました。先端の金具もシルバーで色を合わせ、なおかつ「ファスナーの貴婦人」と呼ばれるYKKの最高級ラインのファスナーを採用しているのは驚きですね。
前身頃と後身頃の長さを変えたり、ウエストマークすることでドレッシーな感じを出している「ワンピース」(2万9000円・税抜き)。モデルは前淵さん (写真・田中幸美)
MUBACは、日本語の造語「無縛」から名付け、「なにものにも縛られない」という意味を持つそうです。ストレッチや防水、撥水などさまざまな機能と新素材を使い、日常生活のあらゆるシーンに対応できる美しいシルエットを持つ服がコンセプトとなっています。ドレッシーな装いなのにリラックスできる服作りを目指しているそうです。
ムバクエーシーの「エーシー」は、「アクティブ」のAC。MUBACのコンセプトを維持しながらよりアクティブなシーンで活躍する服を目指したそう。ピラティスやジムワークをはじめ、踊ったり動いたりするためにも着られて、そのまま日常生活にも応用できる服がムバクエーシーなのです。
ジャケットとフーデッドパーカー(3万9000円・税抜き)
(左から)「アンコンジャケット」(3万9000円・税抜き)、「ワンピース」(2万9000円・税抜き)、ロングコート (写真・田中幸美)
MUBACの立ち上げは、DAZZLEが昨年、歌舞伎俳優、坂東玉三郎さんの演出で行った公演「バラーレ」で衣装オーガナイザーをしていた富樫暁宏さんと出合ったことがきっかけとなったそうです。日本の有名なセレクトショップ出身で、現在勢いのある若手ブランドのバックヤードを手伝っている富樫さんに対して飯塚さんが「服が好きでずっと作ってみたいと思っていたんですよ」と相談を持ちかけたところ、「できますよ」と簡単に言われたそうです。
博報堂のコピーライターをしていた飯塚さんはサラリーマン時代、収入の半分以上を服に費やすほどの服好きでした。しかし、「本当に自分のほしいファッションがなくなり行き詰まり、余計に何か作りたいなと思うようになりました」と振り返ります。飯塚さんは、スポーツ系からストリート系、モードまで幅広くカバーするファッションの〝雑食〟派で、その時々で組み合わせていましたが、「それらの要素がすべて合わさった1つのブランドとして集約されているものがあったらいい」と思うようになり、前淵さんとともにブランドの立ち上げを決断したそうです。ちなみにDAZZLEの20周年記念公演「鱗人輪舞」でもメンバーがMUBACの服を着て踊り、その高い機能性とファッション性を立証しました。
DAZZLE結成20周年記念公演「鱗人輪舞」のオープニングで、MUBACの服を着て踊る飯塚浩一郎さん(中央)と荒井信治さん(右)=東京・東池袋の「あうるすぽっと」 (写真・田中幸美)
飯塚さんは「MUBACを着ることで自分が今まで行けなかった場所に行けるとか、できなかった行動ができて今までより自分らしく動けるようになったらいいと思います」と話していました。今後の目標はアイテム数を増やすこととネット販売を展開することだそうです。
ダンサー目線で作られたアクティブだけど、おしゃれな服の数々。ぜひ試着してみてください。
◆「MUBACAC」展示&販売会は、東京都渋谷区神宮前5丁目42-17コーポ青葉102の「神宮前プレイス」で。12日(土)と13日(日)は午前11時~午後9時、14日(月)は午前11時~午後6時まで。