MIKEYこと牧宗孝さん率いるダンスチームは日本やフィリピンなど4カ国のダンサーから構成されます=東京都新宿区の「新宿村スタジオ」  (写真・田中幸美)

《池袋》ダンスでアジアと文化交流 9日から「DDA東京公演」

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 ダンス界だけでなく演劇界や映像クリエイターなどからも注目を集める超独創的なダンスグループ「東京ゲゲゲイ」のリーダー、MIKEY(マイキー)こと牧宗孝さんをはじめ、アジアの新進気鋭の3人の演出家がダンサーとともに共同制作した作品「DDA東京公演」が9日~11日、東京・池袋の「東京芸術劇場シアターイースト」で行われます。この作品は2017年にはフィリピン・マニラ、ベトナム・ハノイでの上演も予定しているそうです。

日本やフィリピンなど4カ国のダンサーからなるMIKEYこと牧宗孝さん率いるダンスチームの練習は真剣そのもの。右から2人目が最年少15歳のkEnkEn=東京都新宿区の「新宿村スタジオ」


 「DDA」は、「ダンス・ダンス・アジア」の略で、アジアの国際交流を推進する「国際交流基金アジアセンター」(東京都新宿)が、ストリートダンスの舞台プロデュースを多く手がける「パルコ」と組んで、ストリートダンスをテーマに2年前から進めてきた文化交流プロジェクトです。これまでは日本のダンスグループが東南アジア7カ国で公演とワークショップを行ってきましたが、3年目となる今年は、日本、フィリピン、ベトナムの3人の演出家が、それぞれ選んだダンサーらと制作したダンスの舞台作品を上演します。
 「ここもっとリラックスできる部分があった方がいいと思う」。踊りを中断して意見を述べているのは最年少15歳の日本人ダンサー「kEnkEn」(ケンケン)。11月下旬、東京・新宿の貸しスタジオでは、日本やフィリピンなど4カ国の若いダンサー5人が英語を交えて話しながら振り付けを確認していました。

演出助手を務める「東京ゲゲイ」のBOWさんの指導の下、ダンサー自ら振り付けを考案して完成させていきます


 彼らを率いるのが牧さんです。「振り付けのほとんどは彼らが話し合って決めました。私の役目は雰囲気作り」と話します。今回の作品はストーリーもメッセージ性も特になく、「ただファッションやメークなど〝美〟に焦点を絞っている」そうです。牧さんは、「全員男子でやりたいというのがまずありまして。DDAの最初のマニラ公演で出合った2人や、別のダンス公演に出ていてプロデューサーから紹介されたり、ワークショップでよく行っていた台湾で以前から存在を知っていたダンサーらを集めました。理想のダンスチームという感じです」と話します。会話はもっぱら英語ですが、「ダンススタイルがすごいかけ離れているわけではないのでやり方は通じるものはありました」と話します。

「東京ゲゲゲイ」のリーダーで演出家のMIKEYこと牧宗孝さん


 ベトナムの演出家LION-Tさんは、「ベトナムでそして世界中で現実に起こっていることを6つのパートに分けてそれを再現するような形で作品としてみせたいと思っています」と話しました。LION-Tさんのチームは2人の日本人ダンサーを含む4カ国6人のダンサーから構成されています。「日本人ダンサーはパワフルなエネルギーで踊っていて、スキルも高い」と評価していました。

ベトナムの演出家LION-Tさん率いるチームの練習



ベトナムの演出家LION-Tさんはとても穏やかな方です


 最後に紹介する演出家はフィリピンのVince Mendozaさんです。Vinceさんは昨年のDDA東京公演で、「Philippine Allstars」というダンスチームを率いて来日し、ストリートダンスの神髄とも思えるパワフルでエンターテインメント性の高いステージを見せファンを魅了しました。
 Vinceさんは今回は、演出と振り付けを担当し、出演はしません。また、1つ1つの振り付けも昨年とは異なり、ストーリーも違います。しかも、フィリピン人ダンサーは彼のチームには1人もいません。ナチュラルで心地よい表現にするために、今回はストリートダンスとコンテンポラリーダンスをコラボさせたような作品となっているそうです。

Vince Mendozaさん率いるチームは明るくお茶目で、カメラを向けるとみんな思い思いのポーズを取ってくれました


 ダンサーはさまざまなキャリアを持っているので、コラボといってもコンテンポラリーとヒップホップの中でもロッキンなどあらゆるダンスがコラボレーションされるということです。
 さらに1年後にこういう形でまた東京で公演することは想像できたかという質問には「全く想像できませんでした。人生やインスピレーションをまず感じます」と感慨深そうに話していました。

ダンサーに丁寧に振り付けをするVince Mendozaさん


 日本のストリートダンス界はさまざまなダンスグループが、芝居や日本特有のサブカルチャー、アニメなどの要素を取り入れた個性あふれる舞台作品を発表、演劇界などからも注目されています。とくに牧さんは、日本を代表する演出家の1人です。アジアから発信できる舞台芸術をアジアの国々と発信することを目的にDDAは始まりました。
 今回の共同制作は、長編作品のトライアルで20~30分の中編作品3本を上演しますが、プロジェクトのプロデューサーを務めるパルコの中西幸子さんは「いずれダンスを知らない人が見てもさまざまな感情を抱かせるような壮大な作品を作りたいですね」と話します。目指すのは、このプロジェクトの最終年となる2020年の東京五輪です。
 リオ五輪閉会式の引き継ぎの東京ショーでは、ライブパフォーマンスにストリートダンスが多く取り入れられ、日本のダンスのレベルの魅力を世界に見せつけました。
 東京五輪の文化プログラムで、アジアからダンスをキーワードにした舞台芸術を発信するのが夢だそうです。
◆DDA東京公演は9~11日、東京・池袋の東京芸術劇場シアターイーストで。☎03・3477・5858パルコ・ステージ・インフォメーションまで。
DDA公式ホームページは、http://dancedanceasia.com/


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