宮本シェフのスペシャリテ『江戸前の梅雨穴子とフォアグラ』©Waki Hamatsu

《六本木》江戸前の穴子が、フレンチに昇華したスペシャリテ

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 誰よりも早く新しいレストランに行ったり、流行りのレストランを訪れてみないと気が済まない人は大勢いますが、その一方で、同じレストランに何年も通い続け、同じ料理を食べている人も少なくありません。

 そんな人たちが食べ続けるのはスペシャリテと呼ばれるもので、そこでしか味わえない、そのシェフ以外に誰もつくれない一皿。真似することは出来ても、〝オリジナル〟を超えられない一品です。

 六本木の裏通りにあるフレンチレストラン「トレフ・ミヤモト」で提供される『江戸前の梅雨穴子とフォアグラ』は、まさにスペシャリテという言葉がピッタリ。宮本シェフが、1990年代前半に一世を風靡し、今では伝説となったレストラン「クラブ・ニュクス」で働いていた頃から25年以上、つくり続けている料理です。

 この一皿の魅力は、何よりも江戸前の食材がフランス料理として昇華していること。フォアグラや帆立貝といったフランス料理の食材が、今が旬の江戸前の梅雨穴子と渾然一体となり、クラシックな2種類のソース(ポルトとブール・ブラン)に絡めて味わえば、多くの人がトレフ・ミヤモトに通い続ける理由が分かるはずです。

 ちなみに、トレフ・ミヤモトで接客を担当するシェフの奥様にとって、スペシャリテとは「お店に何年も通ってくれている方が繰り返しオーダーしてくれる一皿」で、「お客様に育ててもらっている一皿」であるそうです。

 さらに、宮本シェフ自身が進化するので、同じ食材を使って同じ料理をつくりながらも、その完成度は上がり続け、食べ飽きるようなことはありません。そう言った意味では、スペシャリテにはレストランを〝流行り廃りを超越した存在〟にする力があるのかもしれません。

日本人ならではの職人気質と誰よりもフランス料理に強い情熱を注ぐ宮本シェフ ©Waki Hamatsu


 そして、味わう側にとっても、好きなレストランでスペシャリテを食べ続けるというのは、食べ手として成長していくことにつながるのでしょう。

 もし、新しいレストランや流行りの店を追いかけるのに疲れたら、今まで食べて「おいしかった」と記憶に残っている一皿を味わいに、そのレストランを再訪してみてはいかがでしょうか。

 そこから、何年も通いたいレストラン探しの旅が始まるかもしれません。


トレフミヤモト

港区六本木7-17-20

03-5772-7755

http://www.eatpia.com/restaurant/Treffe-Miyamoto-R...



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