セピア色の画面に人物や母子像が浮かび上がる神秘的な作風で知られる19世紀フランス象徴派を代表する画家 ウジェーヌ・カリエール(1849~1906年)の作品を集めた「没後110年 カリエール展」が、新宿区西新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されています。
会場では、油彩画を中心に88点をほぼ制作年順に展示。カリエールの代表的な主題である「母子」や「妻や子供たちの日常」「著名人の肖像」などに加え、珍しい「風景」を描いた作品も観ることができます。
カリエールの初期作品は、フランドルの巨匠 ルーベンスなどの影響を受けた流麗で重厚なものでした。しかし、1877年から78年に滞在したロンドンで英国を代表する風景画家 ターナーの作品と出会い、大気と光の現象への関心を高めたとされています。その後、彼の代名詞ともいえるモノクロームに近い色調と、朦朧とした画面の作品を手掛けるようになり、注目を集めました。背景から人物が浮かび上がる独特の表現方法は、彫刻家 ロダンとの友人関係をうかがわせます。
日本でカリエールは「知る人ぞ知る画家」ですが、技法もしっかりしており、その作品はなかなか味わい深いです。今回は、個人蔵の作品が多いということもあり、ガラスで保護さておらず、自宅のような雰囲気で、作品を鑑賞することができます。日本で彼の個展が開催されるのは約10年ぶり。「これだけの作品がそろうのは最初で最後」と言っても過言ではないそうですので、足を運んでみてはいかがでしょうか。11月20日まで。
《手紙》 1887年頃 82.0×66.0㎝ 個人蔵

没後110年 カリエール展
会場:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
開館時間:午前10時~午後6時(金曜日は午後8時まで)
休館日:月曜日(ただし、9月19日と10月10日は開館、翌火曜日も開館)
観覧料:一般1300円/大学・高校生800円/シルバー(65歳以上)1100円/中学生以下無料
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