藤田嗣治 《カフェ》 1949年 油彩・カンヴァス ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵 Photo © Musée La Piscine (Roubaix), Dist. RMN-Grand Palais / Arnaud Loubry / distributed by AMF © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

《上野》激動の時代に数奇な人生を歩んだ作家・藤田嗣治の大回顧展、東京都美術館にて


 明治半ばの日本に生まれ、80年を超える人生の約半分をフランスで暮らしを経て、欧州の土となった画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ、1886-1968)。乳白色の下地に、か細い輪郭線で描く裸婦像で知られ、エコール・ド・パリ(パリ派)の寵児(ちょうじ)の一人でもあります。裸婦や風景にとどまらず、宗教、戦争など幅広いテーマに挑んだ画業の全貌を明らかにする大回顧展「没後50年 藤田嗣治展」が、上野の東京都美術館で開幕しました。

 本展は藤田の人生の変遷に合わせ、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などテーマ別に構成。代名詞ともいえる「乳白色の裸婦」10点以上が一堂に会するだけではなく、その作風を確立する以前の1918年頃の作品や油彩画を展示し、習熟期をたどることもできます。

 見どころは、初来日した『エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像』。パリに暮らした富裕な米国人女性の姿を、衣装やソファの模様も含め、触感さえ感じられるような緻密な描写で描いています。金箔(ぱく)を好んで使用した藤田ですが、背景に銀箔で覆った珍しい作品でもあります。

藤田嗣治 《エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像》 1922年 油彩、銀箔、金粉・カンヴァス シカゴ美術館(アメリカ)蔵 © The Art Institute of Chicago / Art Resource, NY © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 学生時代は、東京美術学校(現・東京芸術大美術学部)で学んだ藤田。昭和前期に日本に一時帰国した際は、同美術館で作品展示の機会を重ねたこともあり、上野は制作者としての原点ともいえる場所です。スケールアップした大型展覧会が上野で開催される絶好の機会に、藤田の芸術に触れてみてはいかが。

没後50年 藤田嗣治展

会期:10月8日(月・祝)まで

会場:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)

開室時間:9:30~17:30(金は20:00まで、8月中の金は21:00まで)

休室日:祝日を除く月と、9月18日(火)、25日(火)

    ※8月13日(月)、10月1日(月)は開室

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