エア本屋の「いか文庫」。閉店後の店内で交わされる店主とバイトちゃんのイカした会話、本のお話。
バイトちゃん(以下 バ) :今日もよく働いたー!
店主(以下 店) :お客さん、たくさん来たもんね。お疲れさま。
バ:お疲れさまです、店主。
店:ねぇねぇバイトちゃん、一目惚れってしたことある?
バ:え! 突然どうしたんですか? 一目惚れの経験はないんです、私。自分の好みの男子の顔もわからなくて…。
店:そうなのかー。ちなみに私はあるんだけどね。
バ:いつ? どこで? どんな人に?
店:10年くらい前、その当時の職場に、転勤して来た人。
バ:ドラマみたい!
店:顔を合わせた瞬間、「やばい! これは! 好きになってしまうかもしれない!」って思って、そしたら案の定…。
バ:キャー!
店:でね、最近読んだ小説に、それと同じようなシーンとセリフがあったの。西加奈子さんの『白いしるし』っていう小説なんだけど。
バ:私も読んだことがあります!
店:主人公が男の人に出会った瞬間、「あかん」って言うじゃない。その後、読み進めていけばいくほど、「そうそう、わかるわかる」ってところが個人的に多くて、まるで疑似恋愛をしているかのような気持ちになっちゃったよ。
バ:ありましたね。出会った時もそうだったし、会う度に「これ以上、好きになったらあかん」という葛藤が切なかったです。
店:そうそう。でも恋をするとどうしてもね、ちょっとしたことでつい、気持ちが揺らぐんだよね。
バ:店主、急に顔が赤くなっていますよ(笑) 。
店:わかったようなことを言ってしまって、今とても恥ずかしい。
バ:乙女な店主。
店:恋愛の小説を読んだから、今度は恋愛の漫画を読もうと思って開いたのが、『透明人間の恋』。
バ:透明人間?
店:教室で存在感の無い主人公の女の子が、好きな人に「あんた、自分の顔を鏡で見たことあんの?」って言われることから始まるんだけど…。
バ:ええ、ひどい!
店:主人公は「そうか、私、自分のこと見るの忘れてた…」って気づいて、変身するの。
バ:変身?
店:メガネをコンタクトにして、天然パーマもストレートにして、自分で自分を見直す。そしてあらためて恋をする、と。
バ:かわいい〜。
店:そんな、ピュアな恋愛物語が5編収録されたアンソロジーなの。
バ:チェックしないと!
店:苦しくなる一目惚れにしても、純粋な気持ちにもどれる片想いにしても、「恋愛って、いいなぁ!」と思えるこの2冊、イカが?
バ:人肌恋しい季節にもピッタリですね。あぁ、一目惚れしてみたい!
いかぶんこ
お店も無いし、商品も無いけど、日々どこかで開店しているエア本屋。本と本屋が好きな店主と、イカが大好きなバイトちゃんの2人で、今日もどこかで開店中