『このあと どうしちゃおう』 著:ヨシタケシンスケ 1400円 ブロンズ新社 『とりつくしま』 著:東直子 600円 ちくま文庫

《いか文庫 本日は閉店なり》お別れは、悲しイだけなのカ?


 エア本屋の「いか文庫」。閉店後の店内で交わされる店主とバイトちゃんのイカした会話、本のお話。

店主(以下 店) :おつかれさま〜。今日は送別品用っぽい本が売れた気がしない?

バイトちゃん(以下 バ) :そうですねぇ。3月だし、季節的にお別れの季節だから…。

店:意味はすこし違うけど、”お別れ“で思い出した! この絵本、知ってる?

バ:ヨシタケシンスケさん!

店:そうです! 最近、いか文庫内でブームになってるヨシタケさんの絵本です。タイトルの『このあとどうしちゃおう』っていうのは、死んじゃったおじいちゃんが生前こっそり書いていたノートのことで、それを孫が見つけて読むところから、この絵本が始まるんだけどね。

バ:ノートには何が書いてあったんですか!?

店:「このあとのよてい」とか「うまれかわったらなりたいもの」とか「てんごくってきっとこんなところ」なんてページがあって、絵と文字で詳しく書かれてあるの。

バ:天国ってどんなふうに描かれているんですか?

店:テーマパークみたいだよ。「じめんがやわらかいので、ころんでもいたくない」っていうのにクスッとしちゃった。

バ:地面がやわらかい? たしかに天国はコンクリートとかじゃなくて、フワフワしてそう!

店:そして私、最後に泣いてしまいました。悲しくてというより、じわーっときてしまった。

バ:じわーっと? 気になるなぁ。

店:でね、みんなを見守っていく方法っていうページもあるんだけど、それを見て思い出したのがこれ。『とりつくしま』。

バ:印象的な装丁!

店:この世に思いを残したまま死んでしまった人が、「なにかモノになることで戻ることができる」っていう物語なんだけどね。

バ:モノに?

店:たとえば、旦那さんが愛用しているマグカップとか、リビングにあるマッサージ機とか。誰にも気がついてはもらえないんだけど、そのモノになって、ずっと見守ることができるの。未練があるから、切ないシーンもあるんだけどね。

バ:店主は以前、そんな話をしていましたよね?

店:よく覚えてるね! おばあちゃんと出かけると、絶対黒い蝶々に出くわすの。それを見て、いつも「おじいさん来たー」って言うんだよね、おばあちゃん。

バ:そうだ! その話だ!

店:それに叔母さんも、ハエが飛んでくると「お、来たね」って、亡くなった旦那さんとして話しかけるんだ。

バ:ハエ…。

店:そう、ハエ。でもそういうの、いいよね。お別れするのは悲しいけれど、たまにこういう本でじっくり考えてみてもいいかなって思える2冊です。

バ:私もおじいちゃんのことを考えながら、さっそく読んでみます!


いかぶんこ

 お店も無いし、商品も無いけど、日々どこかで開店しているエア本屋。本と本屋が好きな店主と、イカが大好きなバイトちゃんの2人で、今日もどこかで開店中

http://www.ikabunko.com





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