海を越え、大自然でパワーチャージする伊豆大島の旅
~東海汽船の船旅~
Vol.1 夜行船で行く、神宿る“御神火”の島へ(前編)
「大都会・東京」の対極にあたる「大自然・東京」はたしかに存在する。それも、国内随一のユニークさと神秘性を秘めた――たとえば、黒い砂漠の広がる惑星のような大地やおよそ300万本の椿が咲き誇る花の園、金色のススキ野原をまとった活火山など、まさに秘境や桃源郷と断言できる“もうひとつの東京”である。
そこは、海を越えるとたどり着く別天地、伊豆大島。都心から南へ約120kmの太平洋に位置する伊豆諸島の玄関口となる島だ。数万年前の海底噴火で誕生し、その後も噴火を繰り返して成長した火山島である。
その自然環境の中で、島の人たちは独自の暮らしを営み、文化や産業を発展させてきた。また、三原山を「御神火」と呼んで崇敬し、今も大切にしている。
さあ船に乗って、非日常の世界へ飛び出そう!

冒険心が掻き立てられる夜の船旅へ!
夜、東海汽船の大型客船「さるびあ丸」に乗って伊豆大島へ行く。夜の船旅は、どこか果てしなく遠い場所へ連れて行ってくれるような気がして、冒険心を掻き立てられる。
乗船して間もなく、ヴァーンヴァーンと銅鑼の音が船内に鳴り響いた。いよいよ出航だ。デッキに出て、東京湾の夜景を眺める。摩天楼のネオンが妖艶に輝き、海面に映し出された光の影は揺れて、踊っている。やがてレインボーブリッジをくぐり、羽田空港に離発着する飛行機を探す……。船上からしか見られない、めくるめく東京の景色をクルーズ気分で楽しんだ。
船内の部屋は、ツインベッドが置かれた個室の「特等室」や飛行機のファーストクラスのような「2等椅子席」などさまざまなタイプの部屋がある。私は、二段ベッドが並ぶ「特2等」が好きでよく使う。ベッドごとにカーテンで仕切れるので、プライベート空間も担保され、秘密基地みたいで特別感がある。マットレスも体にフィットして快適だ。
「さるびあ丸」は2020年6月に就航したばかりの新造船だ。船体デザインは、東京五輪のエンブレムをデザインした野老朝雄さんが担当。以前より客室の快適性や機能性、バリアフリー性能が格段に上がり、今は、だれもが安心して心地よく船旅できる時代なのだと実感させられる。



伊豆大島へのアクセス:
竹芝桟橋や横浜大さん橋、熱海などから東海汽船の大型客船「さるびあ丸」とジェットフォイル「セブンアイランド」4隻が運航している。
詳細は東海汽船のHPまで https://www.tokaikisen.co.jp/
文:小林希
プロフィール:旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』など。日本の離島130以上をめぐる。現在、日本旅客船協会の船旅アンバサダー。産経新聞などで連載中