海を越え、大自然でパワーチャージする伊豆大島の旅
~東海汽船の船旅~
Vol.3 ジェットフォイルで気軽に“おいしい”島旅を!(後編)
世界の旅客船の中で、最高速度を出す超高速船の“ジェットフォイル”は、国内で20隻ほどしかなく、そのうち4隻は伊豆諸島を運航する東海汽船が保有する「セブンアイランド」だ。船旅の概念が変わるとも言われるジェットフォイルに乗って、「大自然・東京」の伊豆大島へ行こう!

旅客船で世界最速級のジェットフォイル
伊豆大島へ行く時は、行きは大型客船さるびあ丸に乗り、帰りはジェットフォイルに乗ってほしい。最高速度45ノット(時速83km)で、旅客船で世界最速と言われるジェットフォイルだと、片道1時間45分で竹芝へ戻れる。時間がない人は、往復をジェットフォイルに乗れば日帰りで島旅することもできる。
ジェットフォイルに乗ると、出港の際に飛行機のようなエンジン音がとどろく。まもなく、船内で「TAKE OFFします」とアナウンスが流れる。これは「離水」を意味して、文字通り海面から離れ、船体がわずかに浮いて海を走る。洋上へ繰り出すのに、まるで空へ飛び立つような気分がするから不思議だ。
ジェットフォイルとは、米ボーイング社が航空機技術を水上に適用する目的で開発した全没翼型水中翼旅客船。タービンエンジンを搭載しており、水中翼の揚力で海面から離水・浮上して走ることができる。「速い、揺れない、海を飛ぶ船」と称され、まさしく洋上の飛行機か新幹線に喩えられている。そのため、観光だけでなく、島民の暮らしにも欠かせない乗り物になっている。
東海汽船の4隻のジェットフォイルは、「セブンアイランド愛」「セブンアイランド友」「セブンアイランド大漁」「セブンアイランド結」と名付けられ、それぞれの船体デザインは個性豊かで可愛らしい。
「セブンライランド結」は、2020年7月に国内で25年ぶりとなるジェットフォイルの新造船が誕生。ジェットフォイルの造船技術が後進に継承されるギリギリのタイミングだったこともあり、業界内では大変話題にもなった。
船体デザインは、東京五輪のエンブレムをデザインした野老朝雄さんが手がけた。伊豆諸島の海をイメージした藍色の船体カラーは「TOKYOアイランドブルー」と呼ばれている。
下船して、ジェットフォイルが港を離れていく様子を見送ると、本当に海面を飛んで走っているのがわかるのでぜひ見てほしい。波高3.5メートルの荒波でさえも安定航走するというジェットフォイルは、船酔いする人や船旅初心者にもおすすめだ。


伊豆大島へのアクセス:
竹芝桟橋や横浜大さん橋、熱海などから東海汽船の大型客船「さるびあ丸」とジェットフォイル「セブンアイランド」4隻が運航している。
詳細は東海汽船のHPまで https://www.tokaikisen.co.jp/
文:小林希
プロフィール:旅作家・元編集者。著書に『週末島旅』など。日本の離島130以上をめぐる。現在、日本旅客船協会の船旅アンバサダー。産経新聞などで連載中。