スカイツリーに雷門、人形焼きに芋ようかん・・・。「日本らしさ」を感じる見処、食べ処が数え切れないほどある浅草は、いつも世界中の人々で賑わう日本屈指の観光地です。
そんな浅草にあって、ちょっと異質なカルチャーを楽しめるスポットとして、静かな人気を集めているのが「世界のカバン博物館」です。世界五大陸、約50カ国から収集された、約550点ものカバンが収蔵され、カバンというプロダクトを通して人々の暮らしや文化の変遷を伝えています。
この「世界のカバン博物館」では、東京藝術大学との共同プロジェクトである「モチハコブカタチ展」を2011年より開催。6回目となる今年は、美術学部デザイン科1年生から選ばれた44人が、“未来のカバン”をテーマに作品を制作。未来のアーティストたちが、それぞれ自由な発想で表現した“未来のカバン”が3月10(土)まで展示されています。
「カバン」は、何百年という歴史の中で究極に進化したプロダクトのひとつであり、奇抜なデザイン以外、新たな発想は生み出されにくいアイテムですが、テクノロジーの急速な進化によって瞬く間に変化する生活やライフスタイルに合わせた“未来のカバン”を、デジタルネイティブともいえる世代の学生たちが自由にイメージ。カバンの機能性や快適さを追求しながら、「モノを運ぶ」という行為の新たなカタチを表現した作品の数々は、プロをも思わずうなるクオリティーです。
すべてじっくり見てほしいところですが、今回、紹介するのは、DMデザインのビジュアルに選ばれた3点。どの作品もユニークなコンセプトであることはもちろん、その美しいデザインと、ディテールまで手が行き届いた仕上がりが素晴らしいです。

① 作品名:Libertas (リベルタス)
ハニカム構造を採用し、どんな形状のものを入れても大丈夫なフレキシブルなカバンです。
② 作品名:COIL WING (コイル ウィング)
最も単純な構造「開く、巻く」をコンセプトにしたカバン。中身の容量により持ち方を自在に変えられます。
③ 品名:Flexy (フレクシィ)
ハンズフリーな世の中に対し、今一度「触れる」ことに注目したネット状のポーチ。中身によりフレキシブルな表情をみせてくれます。
3つの作品を含め、すべてが「自分ならこんな持ち方をしてみたい!」「こんな物を入れたら、どんな形になるだろう?」と、未来の“持ち運び方”や“使い方”をあれこれ想像して楽しむことができる作品で、一見の価値ありです。
もちろん、常設展示も見応えあり! 世界中から収集された、歴史が深くも希少価値の高いカバンの展示は、プロダクト好き、ファッション好き以外の人々が見ても充分すぎるほど楽しめます。
ワニ革のキャビントランクは、クロコダイル12匹を使ったフランスのモラビト社の最高級船旅用。世界に3個しか現存していないといわれています。

シマウマのボストンバッグは、革模様が微妙に異なり世界に2つとない一点もの。1846 年創業のスペインのロエベ社が、丁寧に造り上げた逸品です。

昭和40年代に当時の学生たちを“熱狂”させた、日本初の横文字入りカバンであるマジソン・バッグも見ることができます。

新旧の建築物や、おいしいグルメを楽しむついでに、「世界のカバン博物館」に立ち寄って、未来の“モチハコブカタチ”について考えてみてはいかがでしょうか?
2018 モチハコブカタチ展
期間:3月10日(土)まで
会場:世界のカバン博物館(台東区駒形1-8-10 エース株式会社 東京店内
開館時間:10時~16時半(入館は16時まで)
入館無料
休館日:日・祝日
問い合わせ先:03-3487-5680(世界のカバン博物館)