40人のダンサーで「The Witch」という新作を披露したダンスカンパニー「DAZZLE」=19日、東京都千代田区の「東京国際フォーラム」ホールA (写真・田中幸美)

振付師のコンテスト「Legend Tokyo7」で「DAZZLE」が新作披露

演劇, カルチャー

 エンターテインメントとしてのダンス作品のコンテスト「Legend TOKYO」(レジェンド トーキョー)が19、20の両日、東京・有楽町の「東京国際フォーラム」で行われ、コンテストの初代王者に輝いた長谷川達也さんが主宰する「DAZZLE」がゲストとして登場しました。

「The Witch」もダークな世界観を表現しています


 レジェンド トーキョーは、ダンス技術を競うダンスバトルやコンテストとは異なり、いかに観客を楽しませるエンターテインメント作品を創作できたかに焦点を絞り、ストリートダンスのコレオグラファー(振付師)としての才能を競うコンテストで、今年7回目となります。
 DAZZLEが披露したのは新作で、タイトルは「The Witch」(魔女)。メンバー9人に加え、オーディションで選んだ31人のダンサーとともに作品を創り上げました。

9人のメンバーだけでなく、31人のダンサーとともに舞台を創り上げたDAZZLE


 長谷川さんによると「魔女ということではなくて、同じ人間なのにただ少し何かが違っているだけで周囲から拒絶され、否定され、世界に居場所がなくなってしまった人のお話」です。ラストには、そうした状況に復讐するというちょっと衝撃的な演出も用意されていました。

ラストには衝撃的な演出が用意されていました


この作品は、レジェンド トーキョーの2日間だけの上演となるそう


 そして、そのストーリーはDAZZLEが歩んできた道のりとも重なります。昨年結成20周年を迎えたDAZZLEは、「異形」(いぎょう)とか「異端」という形容詞で表される時代がありました。ダンス界において「ヒップホップではない」「いや、コンテンポラリーでもない」と揶揄(やゆ)されてきたのです。

人と少しだけ違うだけで疎外感を持ち世界から拒絶されるというテーマは、まさにDAZZLEが歩んだ道のりとも重なります


椅子やテーブルなどあらゆるものを組み入れた演出がDAZZLEの特徴でもあります


 そんな境遇をがらりと変えたのがレジェンド トーキョーでした。2011年の第1回大会で最優秀作品賞に輝き、振付師として〝初代レジェンド〟の称号を手にしたのです。
 ダンサーや振付師ではない、演出家やクリエイターなどエンターテインメント界で活躍するプロの審査員が評価したことで、「自分たちがやってきたことは間違っていなかったなと思えました」と振り返ります。

小道具を効果的に使うのもDAZZLEのステージの特徴


 そして今回、作品を出展して「最優秀賞を受賞したときに証明できた自分たちの独自性を、今一度見せられたと思います」と話していました。また、昨今「唯一無二」という枕詞で形容される作品やダンスチームが多い中、「ずっと独自性を追求する活動を中心にしてきました。僕たちこそが真の〝唯一無二〟だということを証明したい」とも。
 何につけ〝初代〟は人々の記憶と記録に残るものです。

今回の公演はダンサー40人中、半数以上の26人が女性でした


 「レジェンドで優勝したチームは一体どんな作品を作るのだろうという目にいつもさらされています。ですから半端なものはできません」。そして「僕らのダンスを見て、ダンスを嫌いになられたらどうするのだと思いながらやっています」と〝ファーストレジェンド〟としての気概と責任を口にしていました。

ストリートでもコンテンポラリーでもないDAZZLEスタイルの独特のダンス


 結成21年目を迎えたDAZZLEは25日(金)から、まったく新しいタイプのダンス公演「Touch the Dark」に挑みます。それは「イマーシブシアター」、体験型公演と称されるものです。
 会場の座席に座っておとなしく鑑賞するのではなく、自らの意思と足で会場内を自由に移動しながら、さまざまな場所で繰り広げられるパフォーマンスを「体感する」いわゆる体験型ダンス作品になるそうです。

イマーシブシアターに挑戦するDAZZLEの「Touch the Dark」 ©飯野高拓


 昨年の20周年記念公演「鱗人輪舞」(リンド・ロンド)では観客の投票で2通りの結末から1つを選ぶという「マルチエンディング」方式を採用。そして今年はさらに進化した参加型を見せてくれます。
 生で観て感じることこそDAZZLEの世界に触れる唯一の方法でもあります。

(写真はすべて田中幸美)

◆イマーシブシアター「Touch the Dark」は、8月25日(金)〜9月3日(日)の全31公演。場所は新宿に近い東京都渋谷区内。
チケット予約は、公演特設サイトから。http://www.touchthedark.JP/


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