世田谷線三軒茶屋駅ホームに入ってくる「幸福の招き猫電車」

《三軒茶屋》〝玉電〟開通110周年記念、「幸福の招き猫電車」運行開始

おでかけ

 都内に2路線だけ残る路面電車の一つ、世田谷線(東急電鉄)が、前身の玉川線(1907年~1969年)の開通から今年で110年目を迎えたのを記念して25日(月)、「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車」の運行を開始しました。

車体全面が招き猫でラッピングされている「幸福の招き猫電車」=世田谷線上町車庫


車両の側面は片側だけでなく両側に招き猫、自由自在に車体で遊んでいます


 「幸福の招き猫電車」は、沿線にある招き猫発祥の地といわれている豪徳寺のオリジナルデザインの招き猫で車体をラッピング。赤色の車体が白く塗られ、猫のイラストが全面に描かれています。

 先頭車両は、正面から見た猫の顔。車内に入ると床面には、ピンク色の猫の足跡が点々と続き、まるで猫が電車の中を端から端まで歩き回ったよう。なんてかわいいのでしょう!

 吊り手は、ユニークな招き猫の形をしていて、電車の揺れに合わせて捕まると、なんとなく申し訳ないような、楽しいような気分になります。

電車に乗って、足下を見ると思わず笑顔に。ピンクの猫の足跡が点々と続いています


招き猫型の吊り手につかまるのも楽しい


 招き猫のイラストを提供している豪徳寺は、現在、NHKの大河ドラマで放映している井伊家ゆかりの寺院。彦根藩主、井伊家の江戸の菩提寺となっているため、「桜田門外の変」で有名な井伊直弼の墓もあります。

 招き猫発祥の地といわれる由縁は、猫のおかげで命拾いをした彦根藩主の逸話が残っているからです。昔、彦根藩主の井伊直孝が大雨に遭い、木の下で雨宿りをしていました。そのとき、寺の近くにいた猫が「こっちへおいで」と手招きをしたため、そちらに行くと、その直後、今まで雨宿りをしていた木に雷が落ちました。直孝は、間一髪で危機を逃れたというわけです。

 近年、招き猫発祥の寺ということで海外にも知られ、観光客が増えているそうです。

どことなくのどかな車内に猫の足跡と招き猫型の吊り手が似合う

 

 東急電鉄の平江良成沿線企画課長は「今まで、いろいろな団体が豪徳寺の猫のイラストを使いたいと申し出たそうですが、どこも許されず、今回、世田谷線が初めて許可されました。電車のテーマは感謝。沿線の商店街などと一緒に、地域を盛り上げていきたいと思っています。多くの人に世田谷線を利用して沿線を訪れてほしいですね」と語りました。

 また、初運行の当日、この電車を利用した女性は「スマホに夢中で招き猫のイラストがある電車であることに気がつきませんでしたが、乗車してつり革に捕まったとき、いつもと違う感触で、ん?と思い、手元を見て驚きました。かわいいですね。今、写真を撮りました」とニッコリ。

 来年の3月末まで運行される予定なので、時間にゆとりがあるときにのんびりとお出かけしてみてはいかがでしょうか。



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