
「阿吽像! フジヤマ!Yokoso!ムラカミ・ワールドへ」
本展は、《Ko2ちゃん(プロジェクトKo2)》(1997年)のお出迎えでスタートします。本作と《ヒロポン》(1997年)、《マイ・ロンサム・カウボーイ》(1998年)の3作は、現在に繋がる村上作品の原点。日本の大衆文化に潜む欲望を誇張し、オタクのアイテムであるフィギュアを等身大の彫刻作品として見せるという試みで世界のアート界に切り込みました。
ほかの出展作品はプランを先に固めず、村上さんが社会状況と並走するなかで決まっていきました。“疫病退散”を願って急遽出展が決まったのが《阿像》と《吽像》(ともに2014年)です。また、東日本大震災の記憶が薄れていくなか、現在も処理が続いている原発事故をテーマにした映像作品《原発を見にいくよ》( 2020年)を制作したのも、時代精神を背景に導かれてのことだと思います。壁一面に広がる大型の新作《ポップアップフラワー》( 2020年)はオリンピック・イヤーの祝祭感に満ち、次に制作が決まった、さらに大きな《チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN》( 2020年)は、外国人観光客を歓迎するモチーフで埋め尽くされました。富士山の絵には、本展の開催スケジュールが延期され、制作期間が延びたこともあり、多くのプラチナ箔と金箔が貼られ、より華やかに仕上がっています。箔を貼り込む作業には高い技術が要求されますが、村上さんのスタジオではこうした技術の蓄積があるため、きっちりと美しく仕上げてあります。じつは、こうした完璧な仕上げを追求することも、世界を舞台に戦っている村上さんの作品の特徴です。ぜひ間近で見て、世界レベルの完成度を実感してください。

村上隆
1962年東京都生まれ。2005年「リトルボーイ展」で全米批評家連盟ベストキュレーション賞受賞。2007~2009年初の回顧展「©MURAKAMI」が欧米4都市を巡回。ヴェルサイユ宮殿、森美術館、ガラージ現代美術館(モスクワ)、大館(香港)など世界中で個展を開催。
Museum Goods

卯三郎こけし「富士山ちゃん」/こけし
サイズ:約18cm 6万6000円(税込)
※桐箱入り、オリジナル包装、桐箱へのサイン、シリアルナンバー入り。
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

敷き詰めた白砂利が作品同士を繋ぎ、空間すべてが作品に
李さんの作品選定においてまず決まったのが、初期の代表作である《関係項》の展示でした。最新作として絵画2点を描いてくださることになり、それらを繋げる作品として彫刻作品《関係項―不協和音》が選ばれました。そのなかで、李さんから展示空間の床に砂利を敷きたいという提案がありました。現場サイドで、物理的に設置可能か、スケジュール内に設営できるか、どこで砂利を調達するかなどを一歩一歩詰めていき、実現に漕ぎ着けました。
出来上がった空間は、敷き詰められた白い砂利が独立した作品4点を繋ぎ、李禹煥独自の世界観を存分に体験できるものとなりました。李さんが掲げてきた“作ることと作らないこと”が共存する空間となったと思います。李さんからも「思い切った贅沢な展示ができた」との言葉をいただきました。
空間のいちばん手前に展示された《関係項》は、1969年の発表時はもう少しコンパクトな作品でしたが、今回はより存在感を増すために、重厚感のある大きな作品として再現されました。男性6人が約1トンの石をロープで何とか吊り上げ、李さん立ち会いのもと、その場で指定の位置に落下させてガラス板を割ったのですが、ガラスのクオリティが高くてなかなか割れなかったこともあり、割れたときには歓声が沸きました。
ミュージアムグッズのマグカップは、李さんがこのために絵柄を描き下ろした特別なもの。李さんのお嬢様のデザインによる作品のスケッチをプリントしたTシャツもラインナップされています。

担当キュレーター 片岡真実
李禹煥
1936年韓国慶尚南道生まれ、鎌倉在住。2011年グッゲンハイム美術館、2014年ヴェルサイユ宮殿、2019年ポンピドゥー• センター• メスなど、海外での展覧会開催多数。2010年直島に李禹煥美術館開館。2015年釜山市立美術館内に李禹煥ギャラリー開設。多摩美術大学名誉教授。
Museum Goods

一休/マグカップ
サイズ:84×Φ95mm/容量:360cc(7分目)/4950円(税込)
※10月下旬より販売予定
©2020LEEUFAN