読書の秋といっても、とくにオススメしたいのは、気軽に読めるうえに奥が深い、マンガ読書。連載「本日は閉店なり」でおなじみの、エア本屋「いか文庫」をナビゲーターに迎え、いますぐ読みたい作品をご紹介!
テーマ「イケメンに癒やされる」
光源氏が現代にタイムスリップ!?
ご存じのとおり、光源氏は絶世のイケメン。現代でも女性を虜にする麗しさが止まらないのですが、平安時代とは世界が違いすぎて、おとぼけダメンズのようになってしまっているところが萌えポイント。抹茶ラテに感動して短歌を詠み上げたり、Twitterをマスターしてフォロワー数を増やしたり、だんだん身近な人物に思えてきて…。源氏物語を読み返そうかな、なんて気にもなってきます。

著:えすとえむ 祥伝社 700円
ある日突然、窓から入ってきたのは、かの有名な平安貴族だった。沙織(27歳独身女性)の家にいきなり居候することになったけれど…。
私もこんな“推し”を見つけたいぃぃー♡
恋愛じゃないんです。主人公の乙(おと)は、2人のイケメンを見守り、妄想を繰り広げるだけ。それだけで幸せなんです、癒やされるんです!2人が一緒にランチをしている様子をのぞき見したり、頭をよしよしってされているところにズキュンときたり。おいおい乙、ちょっと興奮しすぎじゃない…?って思いながらも、いつの間にか自分も乙目線になっていて…。とにかく癒やされてください!

著:ma2 オーバーラップ 850円
32歳の係長と25歳の若手。同じ職場のイケメン2人を“推し”て、熱く見つめる主人公・等々力乙 30歳の、妄想力爆発の日々。
テーマ「学びたくなる」
マンガで芸術を身近にしてみない?
ひたすら絵を描くことが好きなゴッホの才能を信じ続け、有名にするために生きたテオ。どんな手を使ってでもその目的を達成させるべく、冷静沈着にことを進めていきます。でも本当は自分が画家になりたかったこともあり、兄に怒りをぶつけるシーンは、緊迫感で息ができなくなるほど。そんな強い愛憎で結ばれた2人のことを、そしてゴッホの描いた絵のことを、より深く知りたくなる作品です。

著:穂積 小学館 429円
画家ゴッホの弟テオ。有能な画商だった彼が、兄の絵と人生を世に知らしめるためにしたこととは…。深い兄弟愛に胸を打たれる物語。
自分だったら、どう接するのだろう
美形で高身長で生徒会長で、地元企業の跡取りでもある清雅は、じつはスカートをはいてみたいと思っている男の子。それを偶然知ることになった刈川さんが、趣味の洋裁で清雅の気持ちを後押ししてくれるのですが、彼女から生み出される言動がとにかく素晴らしい!こんなふうになれたら!と、強く憧れます。そして、近頃ますます注目されている“多様性”について、あらためて学びたくなります。

著:西炯子 小学館 400円(電子版)
男らしい優等生は、自分の本心をずっと隠していた。ある日仲よくなった同級生の女の子にその気持ちを肯定されてからは…。
テーマ「家族を想う」
来年こそ、こんな親孝行がしたい!
いろんな景色を見せてあげたいと、お母さんを旅に連れ出すようになった著者のさとうさん。お母さんは、ホテルのバー初体験に「大人になったみたい」なんていうお茶目な方で、どこに行っても喜んでくれるそうですが、高齢だから無理は禁物。こんなふうにのんびりゆったり楽しむのもいいなと、自分の母親との旅を想像しては、来年こそ一緒にどこかに行きたい!そんな思いが強くなります。

著:さとうみゆき 彩図社 1000円
娘が母親を連れて各地を旅するコミックエッセイ。台湾、横浜、富士山、鎌倉…。無理をしないスケジュールで、さぁ出かけましょう。
想うだけでも、伝わるのかもしれません
どうしてこんなに優しい物語が描けるのだろう。読後最初に浮かんだのがこの感想でした。とくに、引きこもりの息子とその母(そして少し父)の物語は、会話がなくても伝わってくる互いの感情に、何度読んでも涙があふれます。家族がいるからこそ自分はがんばれているのかも…。なんて、ちょっとクサいことを言いたくなるくらい、胸がいっぱいになる作品です。

著:池辺葵 秋田書店 630円
息子を待つ母親、姿を現さない母親、いつか迎えに来る母親…。いろいろな母親と、その子供をモチーフにした短編集。
テーマ「元気になれる」
大丈夫って言い聞かせていて、大丈夫?
仕事でミスしたうえ、ひそかに恋していた同僚が結婚したっていうのに、「どうにもならなかったことなんてないのよ だから 泣かないっ♪」なんていう、ゆり子さんのセリフから始まります。でも、彼との素敵な思い出に感傷的にもなるし、将来の不安がないわけじゃない。そう、まるで自分を見ているような気持ちに…。大丈夫じゃなくてもいいって言われているような、心がほぐされていく一冊です。

著:平澤枝里子 新書館 630円
アラサーのゆり子さんは、いつも前向きで、周りが焦っていてもマイペース。だけどやっぱり、片思いの彼には心がザワつきます。
思い出し笑い注意の小ネタにも注意
星先生中心の物語ですが、女子高生に感動してしまいました。毎日ポロシャツを着ているから「ポロシャツアンバサダー」。あだ名の付け方、天才か。さらに、同僚の小林先生も、漫画を描いている生徒も、登場人物全員、絵の濃さに負けず劣らず個性が濃いので、「そんなバカな」と突っ込みながら、読み終わる頃には元気になっている一冊。あなたの学生時代、どんなあだ名の先生がいましたか?

著:和山やま 祥伝社 680円
女子高の男性教師、星先生の学校生活。学級日誌で繰り広げられる絵しりとりの話とか、くだらないけど笑っちゃうんです。
PROFILE
いか文庫店主
本社勤務。山形県出身。好きな食べ物は、焼きそばと栗。実家はスポーツ店で特技はスキー。ちょっとしたきっかけで、なんでも好きになる性格。都内のリアル本屋でも書店員として駆け回り中。twitter:@ika_bunko
about いか文庫
お店もないし、商品もないけど、日々どこかで開店している“エア本屋”。本社勤務の店主と、支社スタッフのバイトちゃん、バイトぱん、バイトもりもり、バイトいもの総勢5名で運営。リアル本屋フェアやイベント出店、オリジナルグッズ制作・販売などをしつつ、最近は、雑誌・ラジオ・テレビなどにも出没中。
http://www.ikabunko.com
