生理周期で見るバイオリズム:「生理開始日」を1日目として、平均的な生理周期(28日)の場合のグラフ。心と体に変化が生じやすい「生理中」と「生理前」の傾向に注目してみよう。

バイオリズムを知る[思いやりの基礎知識]


 生理を理解するには、女性のバイオリズムを知ることから。産婦人科医の高尾美穂先生に、医学的な見地から、生理について教えてもらった。


女性が妊娠するために
体の中で起こる自然現象

 おおよそ28日周期でやってくる、女性の生理現象。さらにその前後で起きる体の変化は、妊娠を迎える準備をしているあかしだと、高尾先生は話す。男性と女性の体の大きな違いは、精巣と卵巣にある。命ある限り毎日精子を生み出す男性の精巣に対して、女性の卵巣は、在庫とも言える卵子をすべて手放すと働きを終える、期間限定で働く臓器だ。「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンを分泌し、分泌がピークを迎えることによって排卵(卵巣から卵子を放出)が行われる。排卵が行われると、子宮は妊娠維持のため、もうひとつの女性ホルモン「プロゲステロン」を分泌し、子宮内膜を厚くさせるが、妊娠(受精卵が子宮内膜へ着床)しない場合は、子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに「経血」として体外へ排出する。

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イーク表参道 産婦人科医師
高尾 美穂 先生

Dr. Takao's Message
 生理前や生理中は、さまざまな不調がつきもの。けれどそれは、女性ホルモンがしっかりと分泌されている証拠。ポジティブに受け止めましょう。ご自身の生理周期は、基礎体温をグラフにすることで把握できます。異変があったときに婦人科へ受診する目安にもなるので、記録しておくことをおすすめします。


知っておきたい5つのこと

《生理痛(月経痛)》

 生理中、経血を体外に押し出す働きを持つ物質「プロスタグランジン」が大量に分泌されると、子宮が収縮痛を起こす。これが生理痛。人によっては下腹部や腰に痛みを感じる人がいる。生理痛が重い人は、将来的に子宮内膜症になるリスクが高いため、早めに婦人科で検査を。

《PMS(月経前症候群)》

 プロゲステロンが分泌される生理前に起こる、心と体の不調の総称がPMS(月経前症候群)。身体・精神に影響をおよぼす症状に付随して、ミスが多くなったり、忘れっぽくなるなど、日常生活や仕事への影響が出てしまうことも。症状がひどい場合は、漢方薬や低用量ピルによって改善が期待できる。

《生理不順》

 正常な生理周期は、25~38日。この期間から逸脱している場合や、周期が毎回大きく乱れている場合は、「生理不順」となる。女性ホルモンの分泌や排卵に問題がある可能性があるため、基礎体温を記録するとともに、不順と思ったら婦人科に相談してみよう。

《更年期》

 閉経の前後5年、計10年は女性ホルモンの分泌量が減り、変動が起こりやすい。この時期は、メンタルも弱くなりやすく、気分のアップダウンが激しくなることも。閉経のタイミングは個人差があることを踏まえて、体の変化に備えたり、ケア方法を考えたりしておこう。

《個人差》

 生理痛やPMSには個人差があるもの。症状も悩みも人それぞれ。たとえ女性同士であっても、一人ひとりが違うということを認識しよう。職場や学校、家庭内であっても、困っている人がいたときには、生理に関連した直接的な言葉をかけるのではなく、体調をいたわるような言葉を選びたい。


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