支出の抑え方を知ろう[お金を育てよう]


 お金を育てるために、まずは自分の収支を把握して資金をつくるところから。毎月の固定費の見直しから節約の基本、会社員でもできる賢い節税術まで、日々の支出を無理なく抑えるテクニックを、川口幸子さんが伝授!


自分に合う船に乗るための
守りを固める節約&節税術

 限られた収入のなかで、いまの家計管理に加えて、未来の生活にも備えなくてはならない。そこで大切なのが、支出の管理だ。金融コンサルタントの川口幸子さんは、まず「お金の分け方」が重要であると話す。

 「節約ばかりを意識してしまいますが、私は使うお金も大事だと思っています。いまできることと将来にできることは異なるため、自分の望みに合わせて、必要なお金を整理していきましょう。私は幼少期を海外で過ごしましたが、ユダヤ人はお金を時間軸や用途で細かく分類して管理することが当たり前で、私もお小遣いを『いま使うお金』『目的のためのお金』『誰かのためのお金』の3つに分けていました。今月はいくら必要だな、半年後に旅行したいからこれくらい貯めないとな、といった自分のための支出のほかに、社会貢献として寄付をすることも、幼少期に受けた金融教育から意識として染みついていました。具体的にいくら貯めなければならないかは、人によって異なります。ライフプランを立てて必要な金額を把握し、無理なく節約をして余剰金を増やしていきましょう」

 「資産形成」と聞くと、増やすことをイメージする人も多いだろう。しかし、まずは一人ひとりのライフプランに合った守り方を知ることが大切だ。川口さんは、船にたとえて次のように話してくれた。

 「資産を増やしてどんなに豪華で大きな船に乗っていても、そこに少しでも穴が開いてしまえば、船は前に進まなくなり、いつか沈んでしまいます。自分に合ったサイズの船に乗って確実に進んでいくためには、守りを固めていくことが重要です。お金を大幅に増やすことよりも、まずは減らさないための努力から。いま経験したいことや将来に叶えたいことなどを考えながら、自分の人生を前に進めてくれる船を築いていきましょう」

 お金を使うことも、貯めることも必要なこと。大切なのは、どのようなバランスで使い、自分のライフプランに合った蓄えを持つかだ。少しの工夫でできる節約&節税テクニックを身につけて、確実に守りを固めていこう。

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『ユダヤ富裕層が13歳までに学ぶお金のルール』より

 

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川口幸子さん

クラウドコンサルティング株式会社代表取締役。3歳から9歳までの7年間をイギリスとアメリカで過ごす。家庭や学校で充実した金融教育を受けたことから、わずか8歳で投資を始め、18歳で起業を経験。その後、銀行勤務やイベント会社の経営などを経て、ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。これまでの経験と専門知識をいかし、現在は雑誌の執筆やマネーセミナーでの登壇など、多方面で活躍している。

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『ユダヤ富裕層が13歳までに学ぶお金のルール』

著者:川口幸子
秀和システム


Q1
おすすめの節約術は?

A
水道光熱費や保険料といった固定費は、一度見直せば継続してコストカットできるためおすすめです。電気料金は、契約アンペア数によって料金を比較できたり、毎月の利用料金に応じて割引されるプランもあったりしますので、家庭の利用状況によって最適なプランを検討したいですね。ほかにも、いま契約しているサブスクリプションサービスは本当に必要か、家賃が毎月の収入に見合っているかなど、一つひとつ精査していくことが大切です。

Q2
家賃ってどれくらいが目安?

A
収入の30%ほどが目安になってきますが、一概には言えません。固定支出として割合が大きい部分ですから、目安に限らず、少し生活が窮屈に感じたら見直しましょう。たとえば、自宅の前に高層ビルが建設されて日当たりが悪くなってしまった場合などは、家賃の減額を交渉できることもあります。支払った家賃は将来的に戻ってくるものではないため、会社から家賃補助が出ない場合はとくに、家賃を抑えた心地よい住まいを選んでいただくといいと思います。

Q3
節税対策には
どんなものがある?

A
身近なものとしては、1万2000円以上の医薬品を購入した場合に控除を受けられる「セルフメディケーション税制(※)」があります。対象者は誰でも申請できるため、市販薬を購入した際のレシートは、捨てずに保管しておきましょう。ほかにも、配偶者がいる場合は扶養控除、寄付金の2000円を超える部分の税金が控除される「ふるさと納税」、iDeCoやNISAなど、さまざま。知っているか、そうでないかで税負担が大きく変わるため、押さえておきたいですね。
※対象となる医薬品には、一定の範囲が定められています

Q4
会社員でも確定申告
したほうがいいの?

A
ぜひしてください。日本には「特定支出控除」という制度があり、業務のために使用した費用を経費として申請し、収入から控除することができます。資格取得のために受けた講義の受講料や単身赴任に伴う勤務地と自宅の往復交通費なども、特定支出として認められれば、控除の対象になります。払い過ぎた税金がキャッシュバックされるうれしい制度ですので、領収書を保存しておき、確定申告をして還付を受けるようにしましょう。






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