《みんなにやさしく》東京ガスのDE&I「組織改革の道のりとこれから」[知るって、やさしい一歩!]


 新たな経営ビジョン「Compass2030」を掲げて大規模な組織改革を図った東京ガス。社員が性別やライフステージにかかわらず、自分らしく働き、実力を発揮できる環境づくりに向けて、会社としてどのような取り組みを行っているのか。いくつかの事例とともに見ていこう。


《教えてくれたのは》

東京ガス株式会社
人事部 人事戦略グループ
挑戦と多様性推進チーム


多様な人材は大きな資源。
東京ガスが本気で取り組む組織改革とは

 東京ガスでは、変化する市場環境の中で持続可能な成長を続けるためのビジョン「Compass2030」を掲げている。その実現に向けた課題のひとつとして「多様な人材が活躍できる組織の実現」を挙げ、人事部の「挑戦と多様性推進チーム」を中心に、DE&Iの推進に取り組む。

 社員の8割以上が男性を占める同社では、「男性社員の働き方を多様化させることが、すべての社員の働きやすさや組織の変革につながる」という考えのもと、男性社員の育休取得を推進している。配偶者が出産した男性社員に5日間の特別休暇を付与するほか、1カ月以上の育休取得を推奨。「育休準備セミナー」の開催や、子が満1歳になるまでに30日以上の育休を取得した社員には「育児休職応援金」として10万円を給付、育休期間に賞与の減額を行わない仕組みも開始した。「育休中は昇格しない」という規則も廃止し、取得者のあらゆる不安を軽減。育休取得を支える社員には、対応した引き継ぎや工夫などを報告してもらい、人事査定の対象としている。その結果、取得率は大幅に向上。「育休を取得した男性社員からは『より効率よく業務を進めることを意識するようになった』などの声が寄せられ、組織力アップにもつながっていることを実感しています」と担当者は話す。

 さらなるDE&I実現のために、女性社員の活躍推進にも力を入れている。フェムテックについて学ぶ機会を設けるとともに、研修を通してアンコンシャスバイアスの解消にも取り組む。「『子育て中だから出張にはいけない』といった上司側の思い込みによって、仕事へのモチベーションや満足度を下げないようにしています」(担当者)。女性管理職の割合は、2013年度の5.3%から、23年度には9.8%まで上昇。「25年度に11%以上達成」の目標を掲げ、誰もが活躍できる組織の実現に向けて、着実に歩みを進めている。

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セミナー開催時の様子
社内で正しい知識を共有し、相互理解を促すために、フェムテックセミナーを開催。講演やパネルディスカッションのほか、実際にフェムテックアイテムを用意して社員に体験してもらう機会も設けた。約600名の社員が参加し、うち約半数は男性管理職だったという。


男性社員の育休
取得率2%→80%超へ

 外部の講師を招いてオンラインで開催した「育休準備セミナー」には、20代から30代の男性社員を中心に、その上司も含めておよそ200名が参加した。また、実際に育休を取得した先輩パパ社員を招いて、お茶をしながらリアルな情報交換や悩み相談をするカジュアルイベントもあわせて開催。一連の施策によって、男性社員の育休取得者は2018年度はわずか2%だったものの、23年度は80%超(速報値)となった。

育児休暇取得率の推移

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特設サイトやメールで
制度の活用を後押し

 制度は整っていてもそれがなかなか活用されない─。そんな悩みを持つ人も多いかもしれない。東京ガスでは、社員への啓発・周知のために、DE&Iにまつわる社内の取り組みや情報を集約した社員向けポータルサイトを立ち上げたほか、制度利用の対象となる社員に向けて個別にメールを複数回送信するといった、きめ細かい施策をとる。アンケートも頻繁に行い、社員から寄せられた声を積極的に施策へと反映している。

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お問い合わせ:東京ガス株式会社
https://www.tokyo-gas.co.jp





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