大きな組織であればあるほど、従来の価値観を刷新していくのは難しい。しかし、多様な社員が活躍できる会社の実現に向けてさまざまな制度を設け、全社をあげて改革に取り組んでいるのが、あいおいニッセイ同和損保だ。課題と向き合いDE&I推進をリードする兵藤郁子さんに話を聞いた。
《教えてくれたのは》
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
取締役執行役員
サステナビリティ推進、DE&I推進
コンタクトセンター事業部
業務品質向上推進部 担当
兵藤郁子さん
多様な社員が活躍できる組織づくり
国内外に約90カ所の支店を持ち、損害保険事業を手がけているあいおいニッセイ同和損保では、ダイバーシティ推進室を設置し、「女性活躍推進」や「障がい者活躍推進」といった施策を展開している。その背景にある思いとして、DE&I推進担当役員の兵藤郁子さんは、次のように話す。「“人財”を最重要の経営資本ととらえています。多様な社員が最大限に力を発揮して、イノベーションを起こしていくことを目指しています」。
とくに女性社員の活躍推進について、同社は女性の比率が全体のおよそ6割を占めるものの、うち管理職(課長層以上)は17.8%(2023年4月時点)で「まだまだ少ない」と兵藤さん。そこで、外部講師も活用したスキル研修とOJTプログラム・参加者同士のオンライン交流会を合わせた「マネージャートレーニング制度」で、女性管理職層の育成に取り組む。並行して、部支店長の手前の「副部支店長」、ライン長の手前の「副ライン長」といった「副ポスト」を新設。意思決定のプロセスを見たり、案件のリーダーを担ったりと、女性社員の経験値を増やす効果を実感しているという。
また、人事制度を23年10月に改定した。異動範囲に制限がない「全域型」、一定地域に限定した「広域型」、自宅から通勤可能な範囲の「地域型」といった区分を廃止。「基幹社員」に統合し、本人が転居を伴う人事異動の可否を柔軟に選択できるようになり、社員一人ひとりのライフプランに合わせた働き方をサポートしている。さらに、配偶者の転勤などの事情により転居せざるを得ないケースにおいては、転居先でも継続して勤務ができる「あいムーブ」という制度なども用意している。
兵藤さんは、多様性を会社の真の強みとすべく、こう語る。「会社として社員の多様な働き方をサポートし、すべての社員が仕事も仕事以外の時間も大切にして人生を豊かにすることが、ウェルビーイングにつながっていくのではないでしょうか」。
point 1
育児中の社員になりきる
「なりきりプロジェクト(トライアル実施)」
異なる立場を理解し合う目的で、希望する社員に2週間の間、育児中の社員になりきってもらう「なりきりプロジェクト」。日中に子供を迎えにいく「急な早退要請」、保育園の迎えに合わせて17時に「定時退社」するといった想定で、上司や関係先への報告、業務の引き継ぎを行うというもの。仕事と育児の両立に対する社内の理解が進んだほか、仕事の効率化を考えるきっかけにもなったという。

Equality(平等)とEquity(公平)の違いを表した図。みんなに平等なサポートをすると、背の低い人は実を収穫できない。誰もが同じチャンスをつかめるよう、個人差に配慮したサポートをすることが求められている。
point 2
男性育休は、取得率だけでなく
取得日数も向上を目指して
男性育休の取得率は94%とかなり高い数字だが、平均取得日数は9.9日にとどまっている。育休中の不安の解消や職場の周囲の理解を深めつつ、2025年度までに「1カ月以上の育休取得率を100%」という高い目標を掲げている。「男性育休の取得の推進は、いろいろな働き方の改革につながると思っています。これから男性育休をキーに、好事例を生み出していきたいです」(兵藤さん)

セミナー開催時の様子
社内では、男女問わず挑戦を続けられる会社であるために、女性社員にも組織の重要な役割を担ってもらうための研修を開催。兵藤さんが先頭に立ち、意識改革を働きかけている。
お問い合わせ:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
https://www.aioinissaydowa.co.jp