体験会&教室レポート①
書道
文字を書くという、ごくシンプルな行為。けれどその時間は、いつしか心の奥を映し出していく。一画に集中し、無心で筆を運ぶひととき。
文字を美しく書く。
簡潔にして奥深き世界。
小学校の書写の時間。墨汁の匂い、姿勢を正して書いた一文字。多くの人にとって、書道の記憶はそこで止まっているかもしれない。誰もが一度は触れた日本の伝統文化だが、その世界は想像以上に奥深く、静かに続いている。
「書道は、一生をかけて向き合える“道”なんです」
そう教えてくれたのは、書道家の太田真采世(まさよ)先生。彼女が主宰する書道・ペン字教室「真鈴社」の銀座教室にお邪魔すると、仕事終わりの受講生3名が机に向かい、それぞれの課題に取り組んでいた。ボールペン字を書く人、筆と墨で文字を練習する人。書き終えた人から先生のもとへ行き、講評を受け、また机に戻る。その静かな反復が教室に心地よい緊張感を生んでいる。
生徒の年齢層は幼稚園生から80代まで幅広い。月謝制ではなくチケット制なので、忙しい時期は間隔を空けたり、展覧会前に集中して通ったりと柔軟に続けられる。海外在住で、日本滞在中だけ通う生徒もいる。
先生曰く、美しい字を書くポイントは、とにかく書き続けること。「最初はうまくいかなくて当然です。でも、書かなければ改善もしません。とにかく続けていくことが大切ですね。あとは書き順を守ることも美しい字の基本です。最終的に美しい形であればいいじゃないか、と思われる方もいらっしゃるんですが、決められた順序は、少ない力で美しく書くための合理性なんです」
教室には、級や段をもつ上級者から、ペン字を初めて学ぶ初心者までが通う。「きれいな字を書きたい」という動機で始め、教室に通っているうちに書の表現に惹かれていく人も少なくない。「楷書」から書の点や画をくずした「行書」や「草書」、さらに「仮名(かな)」までさまざまな書体にチャレンジし、ステップアップしていく。実用的な字の習得にとどまらず、書道には芸術としての側面もある。和歌や手紙の言葉を半紙の上に配置する「散らし書き」では、文字だけでなく、余白の取り方や墨の濃淡によって美しさが生まれる。文字を書く行為が、やがて一枚の作品へと昇華していくのだ。
「きれいに書けた」。その小さな自信から始まり、終わりのない芸術へと、書の道は続いていく。

ペン字で、季節の手紙の文面を練習する。心を込めて丁寧に。

稽古中は、それぞれのペースで作品の練習に取り組む。

太田先生が文字に朱を入れ、丁寧なアドバイスをしてくれる。
書道・ペン字教室 真鈴社
少人数・完全予約制のアットホームな書道教室。銀座と埼玉県大宮駅近くの2つの教室で受講できる。チケット制なので、仕事や家庭の事情に合わせて自分のペースで通うことができるのも魅力。
住 | 銀座教室/東京都中央区銀座8丁目18-6 二葉ビル601
大宮校/埼玉県さいたま市大宮区下町2丁目51-8 コーポKEN307
休 | 教室により変動
料 | 3回分チケット1万4190円〜/体験受講4180円〜
電 | 03-6869-5926(平日9-17時)
https://www.masayo.biz/
体験会&教室レポート②
華道
花が咲き、枯れ、命が巡る。自然と対話しながら、その一瞬をすくい取るように生ける。四季のうつろいを心で味わう時間。
花と向き合うことは、
自分自身と向き合うこと。
華道と聞くと、なんだか敷居が高く、着物や作法、難しい型を思い浮かべてしまう人も多いかもしれない。けれど実は、華道はもっと身近で、日常にひらかれた表現である。
花のかたち、季節の気配、空間との関係性。特別な知識がなくても、花は楽しめるけれど、その一歩先にあるのが華道だ。「素敵にお花を飾るコツ」を気軽に、そして実践的に習うことができるのが、小原流ビギナーズスクール青山校。仕事帰りにも立ち寄りやすい都心にあり、道具や花材はすべて用意されているため、手ぶらで始められる。利用者は老若男女さまざまで、男性も気軽に参加できる雰囲気だ。レッスンは平日・土曜のモーニング、デイ、ナイトの3つの時間帯から選択可能で、季節に合わせたイベントも充実している。
「ご自宅でも、草花と剣山があれば華道はできます。器はお皿でも構いません。少ない本数でも立体的に生けられるのが、華道のいいところですよ」と講師の松田光美先生は語る。
400以上あるいけばなの流派のなかでも、近代以降の暮らしに新たな表現をもたらした存在とされる小原流。西洋の草花を取り入れ、生活空間に寄り添うスタイルを築いてきた点に惹かれ「この流派の教室で習いたい」と足を運ぶ人もいる。
体験レッスンでは、まず好みの花器を選び、数種類の花材を順に生けていく。ただ自由に剣山に挿すのではなく、「たてるかたち」という基本の考え方を理解し、主となる枝とそれを支える枝の関係性をもとに組み立てるのが肝要だ。左右のバランスや立体感を意識しながら、講師のアドバイスで少しずつ形が整っていく過程も興味深い。
「不思議と作者の性格やその日の気分が、作品に表れます。いいことがあると、自然と伸びやかになりますね。花と向き合う時間は、自然と集中力が深まり、自分自身と向き合う時間にもなるんです」と松田さん。技だけではなく、向き合い方そのものに宿る精神性。それもまた、華道が「道」と呼ばれる所以である。
ただ花を飾るのではなく、季節を受け取り、空間にひとつの美を立ち上げる。花を生け終えたあと、空間の見え方が少し変わる。その変化に気づけたなら、もう華道の世界に足を踏み入れているかもしれない。

完成した作品。「伸びやかで良いですね」との評価をいただいた。

花材の扱い方や剣山に固定するコツなどの基本から、初心者にも丁寧に教えてくれるので安心だ。

いけ終わり、先生の手直しを待つ。出来栄えはどうだろう?
小原流ビギナーズスクール青山校
いけばな小原流五世家元・小原宏貴氏が校長を務める本部直営教室。日々の指導は家元代行資格を有する講師陣が務め、わかりやすく初心者向け。月曜日~土曜日までの毎日と、日曜日は月に1回開講している。
住 | 東京都港区南青山5-7-17 小原流会館1階
休 | 第2以外の日曜
料 | 入門8単位3万5000円/体験レッスン5000円
電 | 03-5774-5096
https://www.ohararyu.or.jp/beginners/bschool/