ビール選びのギモン。
スーパーや酒屋にずらりと並ぶビールたち。でも、それぞれ何がどう違うの?種類や造り方の違いを知るだけで、ビール選びはもっと楽しくなる。知っているようで知らないビールの基本をプロが解説。自分に合う一杯を見つけよう!
長谷川小二郎(はせがわ・しょうじろう)
著述家(執筆、編集、英日翻訳)。7月新刊『世界ビールMAPS』(グラフィックス社)などビールに関する書籍は8冊。業界から独立した出版ユニット「放課後舎・ビールの放課後」で14タイトル1万部発行。ワールドビアカップなど世界6大陸でビール審査会審査員や、4つの資格講座の講師・テキスト執筆も。
Q. ビール選びの第一歩。まず知っておきたい種類の違いは?

A. 「ラガー」と「エール」を知ろう。
ビールは大きく「ラガー」と「エール」の2種類に分けられます。個性を分けるのは、製造における「発酵」のプロセス。ラガーは低温で発酵し、酵母が糖を比較的多く分解します。つまり甘味が残りにくく、すっきりとした味わいに。一方、エールは酵母が比較的さまざまな香り成分を生み出し、フルーティーで複雑な香りが楽しめます。とくにクラフトビールは、エール酵母と多様なホップで特徴を出しています。
Q. 自分好みのビールを見つけるには?

A. まずは苦味を軸に選び、ラベルや価格で冒険する。
甘味や酸味、香りなど、ビールにはさまざまな個性がありますが、まず注目したいのはビール最大の特徴ともいえる「苦味」。苦味の強さは銘柄によって大きく異なり、しっかり苦いものから、ほとんど苦味を感じないものまで幅広くあります。自分がどの程度の苦味を楽しめるかが指標のひとつになります。個人的には「ラベルデザイン」で感覚的に選ぶのもおすすめ。また、思い切って価格が高めの一本に挑戦したりするのも、新しい好みに出会うきっかけになりますよ。
Q. クラフトビールってどんなビール?

A. ひとことで言うと「小規模・独立」。
実は「クラフトビール」という味わいの分類があるわけではなく、製造規模と経営の独立性による呼び方。小規模・独立のブルワリーは、大手よりも「作りたいものを作る」という傾向が強く、それぞれの個性を追求したビールづくりをしています。結果として、国産と輸入をあわせて数千を下らない数の銘柄が楽しめる状況が生まれています。まさに一期一会の出会いを楽しめるのが魅力で、専門店なら店員さんに相談しながら、自分好みの一本を探せます。
Q. 缶、瓶、樽で、ビールの味わいは変わる?

A. 基本的に中身は同じです。
変わるのは主に飲み方や泡の状態。樽はサーバーで注ぐことで、きめ細かな泡を楽しめるのが特徴です。ちなみに「生ビール」とは、熱処理をしていないビールのことで、お店のサーバーから注がれるビールだけを指すわけではありません。缶や瓶ビールの多くも生ビールです。ところで、ビールの「泡」はたくさん立てればいいというものではありません。適切な泡の量はビールの種類や好みによって変わり、たとえばIPA(*)などは泡を立てすぎると渋味を感じることも。自分好みの泡加減で楽しむのも、ビールの醍醐味です。
*India Pale Ale(インディア・ペール・エール)の略称。度数が比較的高く、ホップを多く使っているため苦味が強く、ホップの香りが立っているスタイル。
Q. 家で飲むビールを、もっとおいしくするコツは?

A. 冷蔵庫で休ませて、グラスをひと工夫。
大きく2つ。ひとつは、買ってきたビールはまず冷蔵庫でしっかり落ち着かせること。最低でも24時間置くことで開けたときに吹きにくく、注ぎ方で味わいを変化させられる「ニュートラル」な状態に。もうひとつはグラスをきれいに洗浄・管理すること。油分は泡を壊すため、食器用スポンジではなくグラス専用のスポンジを用意してください。グラスを少し傾け、内壁に沿わせてゆっくり注ぐことで、泡立ちを制御できます。
Q. ずばり、ビールの魅力は?

A. 自由で開放的な気軽さ。
ビールは、敷居が低くて間口の広いお酒です。家飲みはもちろん、食事や野外イベントなどシーンも選ばない。そして、ビールの世界は今でもどんどん進化しています。近年では、ヘイジーIPAやサワービールなどの苦味が苦手な人でも飲みやすい銘柄も増えています。さらにアルコール度数を抑えた「Low / No Alcohol」のビールも続々と登場していて、その進化から目が離せません。まずは気になる一杯から、試してみてください。