災害の経験やライフスタイルは人それぞれ。だからこそ、ふだんの備えも人それぞれだ。首都圏に暮らすみなさんに、実践している防災アイデアや愛用しているグッズを尋ねた。
防災に関する質問項目
1. ご自身のライフスタイル(住居形態、職業、家族構成)を教えてください。
2. これまでに、経験した災害について差し支えない範囲で状況をお伝えください。
3. ふだんからどのような防災対策をしているかを教えてください。
4. ご自身のライフスタイルから、とくに気をつけている防災対策があれば教えてください。
5. 常備している防災グッズ、活用しているアプリや情報サイト、防災のアイデアがあれば教えてください。
♯case 1
小川さやかさん

安心して過ごすために
子どもが食べ慣れている備蓄を
1. 都内の一軒家で、夫婦+小4息子との暮らし。自営業+パート。
2. 東日本大震災の際、10階建てマンションの8階に住んでおり、これまで経験したことのないような強い揺れを感じました。その後も余震が続き、いつまた大きく揺れるのかわからない怖さがありました。震災後しばらくはコンビニやスーパーで食料品が品薄になり、日用品も手に入りにくい状況が続きました。必要なものを普段どおり購入できないことに、とても不安と不便を感じたことを覚えています。
3. 簡易トイレや懐中電灯、防災頭巾も常備し、レトルト食品やトイレットペーパーなども普段から少し多めにストックするように心がけています。

4. 子どもがいるため、家族が別々の場所にいるときに災害が起きることも想定し、避難場所などを家族で確認するようにしています。また、できるだけ安心して過ごせるように、備蓄する食品も子どもが普段から食べ慣れているものを意識しています。

5. 災害時には、LINEの「安否確認」機能を利用して、家族や身近な人の状況を確認できるようにしています。また、災害が起きた際はLINE NEWSなどをこまめに確認し、最新の情報を得るようにしています。
♯case 2
水谷直道さん

安全な場所へ移動できるよう
出先でも避難経路の確認
1. 都内マンションで、ルームシェア・二人暮らし。都内に勤務。
2. 小学生時代に地元・福島で東日本大震災で被災。それをきっかけに、消防士として6年勤務。東日本大震災では、食料不足、断水、停電を経験し、身近な人との連絡も滞り苦労しました。また、放射線の影響を受けて数値が少ない所へ避難した経験があります。
3. 旅先や出先でも、ここで災害が起きたらどこの経路で安全な場所へ移動するか常に意識し、避難経路の確認は欠かしません。また、視認性がないと夜の活動は難しいため、ライトを常備。登山もするのでライフハックを高めるギアを少しずつ揃えています。
4. 所有物を減らすこと。物を減らすと大切な物をすぐに見つけられる。家で地震が起きた場合、落下物がリスクになる可能性が高いことから、高い場所に物を置かない。置くとすれば低い位置に収納しています。また、モバイルバッテリーと現金を持ち歩くことを徹底しています。

5. 災害時に水や電気が通らなくなった時のために、チタンサイフォンアルコールストーブとアルコール液を常備。有事の際はこちらのセットで水を沸かすことができます。

♯case 3
杉山さん夫妻

愛犬を怖がらせないために、
人間がパニックに陥らない準備
1. 都内マンションで、夫婦+小型犬1匹との暮らし。平日夫は在宅勤務、妻は都内の会社に出勤。
2. 夫:高校3年生の受験期に東京へ連泊していた際、山梨県で記録的な大雪が降り、電車の運休によって予定外の延泊を経験しました。
妻:直接大きな災害を経験したことはありません。ただ、学生時代を過ごした新潟県では中越地震や中越沖地震が発生、東日本大震災の後には東北地方から避難、移住してきた同級生がいたため身近に自然災害の怖さは感じていました。
3. 大きな家具は固定し、人間用と犬用の非常用持ち出し袋を備えています。犬用の袋には、普段から食べている缶詰タイプのフード、パックタイプのカリカリフード、お薬手帳や鑑札、オムツ、カイロ、防寒着、リードなどを入れています。人間用と犬用の袋はまとめて置いておき、非常時に一緒に持ち出せるようにしています。
4. 犬が過ごすケージの周りには、地震で倒れたり落ちたりするものを置かないようにしています。また、災害時に同行避難できるようキャリーケージを用意。犬は普段から自分で好んでケージに入り、電車で長時間移動しても落ち着いて過ごせますが、飼い主と離れると鳴いてしまいます。現在住んでいる台東区ではペット同行避難は可能ですが、避難所では原則として人とペットの生活スペースが分かれてしまうそうです。そのため、次に引っ越す際は、災害時にも犬と一緒に過ごしやすい避難環境や、在宅避難のしやすさを住まい選びの条件に入れたいと考えています。

5. 犬は急激な環境の変化を怖がるため、できる限り普段から食べているフードを非常用袋に入れ、キャリーやオムツにも慣れるよう小さいころから使用しています。災害発生時、まずは人間がパニックにならないために「台東防災」アプリを使い、避難場所や災害リスクを確認しています。
♯case 4
佐竹 彩さん

アウトドア用品を
防災アイテムに活用
1. 一軒家に夫婦二人暮らし。自営業で、週の半分は都心部の会社に出勤。
2. 東日本大震災の際は大学生で、震災当日は実習先の病院がたまたま自宅から近く、歩いて帰宅ができました。ただ、同じ実習先の友人たちは帰宅困難となったため、私の実家に呼んで、みんなで雑魚寝をしたのを覚えています。その日は1日停電で、ろうそくや懐中電灯で過ごしました。
3. 水や食料の備蓄は、2~3日分は確保しています。海が近い場所に住んでいるため、津波の際の避難経路の確認は家族でしています。避難の際に持っていく防災グッズは、夫とそれぞれバックパック1つ分にまとめています。
4. 津波情報に気を配ることを徹底しています。また、停電時に携帯の充電を切らさないように、モバイルバッテリーの充電は必ず毎日満タンに。
5. 夫婦ともに登山が趣味のため、アウトドア用品を防災アイテムに活用できるように取り出しやすい場所に置いています。登山食はそのまま非常食にもなるので、少し多めに常備をしています。

パッカブルのダウンウエアやレインウエア→避難時の防災バッグに簡単に収納可能
ヘッドランプやソーラー充電器→停電時に
寝袋やマット→避難先の就寝時に

♯case 5
越 美乃莉さん

外出の際にも
最低限の準備が必要
1. 千葉市内のアパートで、夫婦二人暮らし。自宅から徒歩圏の歯科医院に勤務。
2. 2026年8月の千葉豪雨を経験しました。職場や自宅周囲の地域はすべて冠水し、停電も発生。自宅へは歩いて帰れる距離ですが帰宅困難となったため、職場(歯科医院)に一泊しました。食事は、近くのコンビニにも行けない状況のため、各自持参していたお菓子ですませました。翌朝、水が引いたところで無事に帰宅することができましたが、今も職場のビルのエレベーターは故障で止まっており、新しい機械になるまで当分は階段で4階の職場に向かう日々です。
3. 自宅では非常時に持ち出せるバックパックの準備をしていました。ただ、今回は職場での被災となったため、職場での準備も大切だと感じました。周囲より少しでも低地になっている場所が浸水被害の可能性が高まることを実感したため、今後引っ越しをする際は、今まで以上に災害リスクを見極めて土地を選ぶ必要性を感じています。
4. 今回、幸いにも電波は通じたため、都内に勤めている夫や、親との連絡がとれたことで、安心することができました。ただ、冠水した道を歩く危険性や難しさを感じたため、無理して外に出て移動をしないことが大切だと実感。そのため、いつ何が起きても大丈夫なように、出勤や外出の際にも最低限の準備を心がけています。
5. アウトドアで使用しているランタンやチェア、タンブラーなどは役に立ちそうです。
そのほか、住んでいる市の公式LINEは、豪雨の状況や、被災車両の撤去状況、通行止め解除情報などを伝えてくれるため、登録しています。また、トイレが使えない時用に、ロングスカートがあると隠せて便利と聞いたため、着用しなくなったものを防災バッグに入れています。

